短編

□久しいデート
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「なあ名無し。デートしないか?」
「へっ?」



久しぶりだった。
最近お互い忙しくてデートなんか出来なかった。
でもようやく暇が出来るようになって、俺も正直デートしようって言いたかったけど
誘うのをためらってしまい何しろ恥ずかしかった。
彼もデートをしたかったんだと思うととても嬉しかった。

「そういえば、名無しが欲しがっていた腕時計。
あれさ、今割引セールで安くなってるんだってさ。買いに行こうか」
「ええっ、でも、割引でも高いでしょう?」

彼は「はははっ」と笑って、心配するなよと言った。

「大丈夫。金貯めといたから」
「…じゃあ今度お礼するよ」
「いいよ、それじゃあキリがない。さ、行こうぜ!」
「わっ、待って!」

あーあ、何だか子供みたいだ。
だって、とっても嬉しそうな顔して走ってるんだもの。

「ありがとう。大事にするね」
「うん。壊したらもう何も買ってやらないからな!」
「あはは、酷いなあ」
「…名無し、ちょっとこっち向いてくれないか?」
「?うん。いいけど…!」

突然、唇に何か柔らかいものが押し当たった。

「…!」
「はははっ!何赤くなってるのさ」
「だって、いきなりキスしてくるから!」
「わざわざキスするぞーなんて、誰も言わないだろ」
「う…というか、場所を考えてよね!」

何もこんな人が沢山居る所でする事ないじゃないか…

「あー久しぶりにしたからなぁ、俺もちょっぴり恥ずかしいかな」

鼻を擦って、また笑った。
こうして見るとやっぱり彼はカッコいいと思う。
笑う時も爽やかで、優しくって、時には意地悪になったりして。だからモテるのか。

「名無し、腹は減ってないか?」
「え、ううん大丈夫。そっちこそ結構食べるしそろそろお腹減ってない?」
「そんなに大食いじゃないよ」
「あれ、怒らせちゃったかな?」
「別に!ほら早く行こうぜ!俺だって買いたい物あるし、遊園地にも行きたいんだから」
「分かったよう、あんまりはしゃがないでね」
「俺が?それは名無しの方じゃないか?」
「はしゃぎません。…うっ!」
「えっ、何?」

ぐうううううう

「…お腹すいた…」

うう、恥ずかしいったらありゃしない。実はさっきから我慢してたんだよなあ。
案の定笑われました。

「何だよー、腹減ってたんじゃん」
「…ごめん」

その後めちゃくちゃ食べました。

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