短編
□久しいデート
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「なあ名無し。デートしないか?」
「へっ?」
久しぶりだった。
最近お互い忙しくてデートなんか出来なかった。
でもようやく暇が出来るようになって、俺も正直デートしようって言いたかったけど
誘うのをためらってしまい何しろ恥ずかしかった。
彼もデートをしたかったんだと思うととても嬉しかった。
「そういえば、名無しが欲しがっていた腕時計。
あれさ、今割引セールで安くなってるんだってさ。買いに行こうか」
「ええっ、でも、割引でも高いでしょう?」
彼は「はははっ」と笑って、心配するなよと言った。
「大丈夫。金貯めといたから」
「…じゃあ今度お礼するよ」
「いいよ、それじゃあキリがない。さ、行こうぜ!」
「わっ、待って!」
あーあ、何だか子供みたいだ。
だって、とっても嬉しそうな顔して走ってるんだもの。
*
「ありがとう。大事にするね」
「うん。壊したらもう何も買ってやらないからな!」
「あはは、酷いなあ」
「…名無し、ちょっとこっち向いてくれないか?」
「?うん。いいけど…!」
突然、唇に何か柔らかいものが押し当たった。
「…!」
「はははっ!何赤くなってるのさ」
「だって、いきなりキスしてくるから!」
「わざわざキスするぞーなんて、誰も言わないだろ」
「う…というか、場所を考えてよね!」
何もこんな人が沢山居る所でする事ないじゃないか…
「あー久しぶりにしたからなぁ、俺もちょっぴり恥ずかしいかな」
鼻を擦って、また笑った。
こうして見るとやっぱり彼はカッコいいと思う。
笑う時も爽やかで、優しくって、時には意地悪になったりして。だからモテるのか。
「名無し、腹は減ってないか?」
「え、ううん大丈夫。そっちこそ結構食べるしそろそろお腹減ってない?」
「そんなに大食いじゃないよ」
「あれ、怒らせちゃったかな?」
「別に!ほら早く行こうぜ!俺だって買いたい物あるし、遊園地にも行きたいんだから」
「分かったよう、あんまりはしゃがないでね」
「俺が?それは名無しの方じゃないか?」
「はしゃぎません。…うっ!」
「えっ、何?」
ぐうううううう
「…お腹すいた…」
うう、恥ずかしいったらありゃしない。実はさっきから我慢してたんだよなあ。
案の定笑われました。
「何だよー、腹減ってたんじゃん」
「…ごめん」
その後めちゃくちゃ食べました。