短編

□誕生日会+告白+三角関係判明
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今日は王子の誕生日。
サイヤ人全員が誕生日会の準備をし、とびきりの食事で祝う。

「王子ももう20歳だね」
「名無し、お前よく覚えてるな」

名無しとターレスは大きなケーキを二人がかりでせっせと会場へ運んでいる。

「俺なんてもう30越えてると思ったぜ」
「…この前配下の人が王子に自分の歳はいくつか聞かれてたんだけどね」
「ああ」
「間違えたみたいで殺されかけたって」
「……………20歳だな?」
「うん、間違えないようにね」

二人はケーキを落とさないように注意しながら早足でケーキを運ぶ。
*
「王子誕生日おめでとうございまーす!」

パチパチパチパチ
大きな拍手と共に皆がグラスをカチン、とあわせた。
名無しはその時トイレに行っていたので急いで会場へ戻ってきた。
席が空いておらず、おろおろしていると名無しの姿を見かけたバーダックが手招きをした。
ひとつだけ、バーダックの隣の席が空いていた。
名無しは慌てて、人々の視線をなるべく集めないように、足音を立てずにゆっくり席に座る。
誕生日会の日だけは皆スーツを着る。が、名無しはケーキを運んだ後着替えようと思っていたのに、
いきなり腹が悲鳴をあげ、皆が会場へ向かう中名無しだけ会場とは反対の方向にあるトイレへ。
30分間引き込もっていた名無しは時既に遅し、会場に着いた時にはもう乾杯をしている所だった。

「遅かったな…ってスーツ着てねえじゃねえか!」
「すみません、さっきまでお腹痛くてトイレにいたんです」
「アホかお前は…変なもんでも食ったのか?」
「いえ、特に何も…アハハハ」

ベジータ王の、息子の誕生日を祝う祝福の言葉が終わると、食事を食べることに。

「バーダックさん、こんなときまで煙草吸うんですか…」

バーダックは煙草に火をつけ深く吸った。そしてぷはーと息を吐く。
煙は向かい合わせになって座っているサイヤ人の方へ向かっていく。

「まーな」
「…今は見られてないからいいと思いますけど、やめておいた方がいいですよ」
「そうか?なら今は我慢するか…」

灰皿がないので、テーブルクロスに長い煙草を押し付けぐしゃぐしゃにして消した。
名無しは顔を青くした。煙草だから跡が残ってしまったら大変だ。

「オイ、名無し…食わねえのか?」
「ふおっ!?あ、はい、食べます…」

王子に怒られたらどうしよう、と焦っていた名無しは
バーダックに声をかけられ変な声を出してしまった。

「なんだその奇声は…」
「いや、何でもないです…」
「また腹が痛いのか?…おい、何か王子さんがこっちに来るぞ」
「えっ…ま、まさか…」

怒られるのか、と焦る名無しの方へ、ベジータは向かってくる。
そして名無しの前でぴたりと止まる。

「な…なんでしょう…?」

バーダックは知らんぷりをして再び煙草を吸い始める。
ベジータは膝を折り名無しの耳元で囁く。

「親父がお前とはいつ結婚するのか聞いてきた…」
「ブッ!?」
「…俺ももう二十歳だ…お前ももう結婚していい歳だろう?」
「う、うん…いや、はい…」
「お前の意見を聞きたい、俺はいつでもいいが…」

出来るだけ早めにしてほしい、とちょっぴり顔を赤くして囁く。
名無しはいきなりそんなこと言われても、と相当焦っている。

「…おい名無し、お前結婚すんのか?」

地獄耳…!
二人はひきつった顔でバーダックを見る。

「…ん?何か俺いけないこと言ったか?」
「バ、バーダックさん、ちょっと静かにしててください」
「?おう…」

しかもその話はターレスやラディッツなどほとんどのサイヤ人に聞こえていて。

「なんだとー!?」

怒って席を立ち上がったのはターレス。

「おめでたいなあ」

と言って喜んでいるのはナッパ。

「本気かよ名無し…」

半分驚き半分呆れで言ったのはラディッツ。
そして騒ぎ始める周りのサイヤ人。

「うわああああ」

絶叫する名無し。恥ずかしくてたまらない。
と、そこに、ずかずかとターレスが庇うかのように名無しの前に出た。

「おいこらお坊っちゃん!名無しは俺と結婚すんだからな!」
「!?!?」
「タ、タ、ターレス!?い、いやあの王子、これは違「じゃあお坊っちゃまと結婚するのかお前!?」え、あの」

まだ結婚するとか決まってないのに、と名無しは完全に混乱状態。

「貴様は出てくるな!貴様には関係のない話だ」
「関係ある!俺だって名無し好きだからな!」
「ええっ!?」

まさかの告白。皆がいるというのに、聞いているというのに。

どさり。
何かが倒れた。名無しだ。混乱しすぎて気絶したようだ。

「!?名無し!」

倒れた名無しに今度は二人が焦る。

「「名無し!大丈夫か!?」」

同時に叫んだ二人は互いに相手を睨む。

「……名無しの答えで全てが決まるんだからな!」
「答えなんて決まっているだろう」
「うっせえ!あっ、おい!名無しに触るな!」
「こっちの台詞だ!」

言い争う二人を見つめながら、バーダックは、

(…俺のせいなのか?これ。いや、違うよな)

と、自問自答していた。

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