終わることのない戦い

□出発
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ズドォォォン

大きな物音が耳に響き目を覚ました。
どうやら地球に着いたようだ。

「人だ!人が出てきたっ!!」

驚く人々が視界に移る。
王子もアタックボールの中から出てきて「ふうっ」と一つため息をついた。

「地球って言ったな…まあまあの星じゃないか」

俺は一刻も早くラディッツを殺した人間を探したかったけれど、
王子は何故か動こうとしない。口元が笑っていた。

「バージル、少し挨拶してやれ」
「……」
「バージル?」
「あ、う、うん…」
「…」

意味もなく殺すというのか。
そんな視線で王子を見てしまっていた。そのせいで様子を伺われ、怪しまれた。

(…さようなら)

気弾を作り出すと、俺達を見つめていた人々へと投げた。
その瞬間、光がどんどん広がってゆき、やがて爆発した。人々が、建物が、消えていった。

「…消えてゆく…」

口からこぼれた独り言を、王子は聞いていた。

「美しいものだな」
「…」

どんな星でも、消え去るときは美しいものだ。
地球へ着く前に、とある星に行った。その時、王子が星を消し去ったときに言った言葉だ。

「…そう、だね」

嗚呼。また嘘をついてしまった。

「綺麗だね」
「ああ」

微笑する王子の瞳には、邪悪な闇が潜んでいた。

「さて、そろそろ行くか」
「うん」
「一番戦闘力が高い奴を探すんだ」

スカウターで探してみると、あちこちに戦闘力1000を超える反応が。

「どうしよう、こんなにいるのか…?」
「うろたえるな。所詮俺たちの敵ではない」

と、そこで王子のスカウターがピピピ、と反応した。

「!やけに高い反応がふたつそろってやがる」
「じゃあ、そいつらか?」
「だろうな…よーし、遊びに行ってやろうぜ!」

王子の言葉にうなずき、俺たちはふわりと浮いた。
アタックボールだけが残された何もない都を、そっと見つめた。ここにさっきまで沢山の人々がいたと言うのに、俺のせいで…。

「おい、バージル?」
「あっ、うん、行こうか」
「さっきからどうしたんだ」
「ご、ごめん…」
「ああ、もしかしなくても、まだ眠いんだな?」
「べ、別にそんなんじゃないよ!王子こそ眠いんじゃないの〜?」
「ふん」

あ、あれ?いつもなら眉間にしわ寄せて「なんだと貴様!」とか言うのに…。
どうしたんだろう。あ、本当に眠いのかもしれない。

「じゃあ俺が眠気を「何か嫌な予感がするので遠慮します」…チッ」

だって絶対頭殴られそうだし。

「まあいい。行くぞ」
「はい」

それにしても、地球という星は、やけに風が強いな…。
何だかそれが、俺を嫌な予感に導いているような気がした。

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