短編

□買い物=デート
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「なあ名無し、これとかお前に似合いそうだぜ」
「わあ、ターレスってセンスあるね!」
「ふふん、俺はこう見えてファッションセンスがあってだな」

名無しとターレスはデート…いや、買い物をしている。
お洒落にこだわらない名無しは兄のおさがりや貰った服しか着ず、服を買うのは今回が初めて。

「うーん…あとはズボンかな、それと上着」
「ぷっ」
「えっ?なに?」
「いや、可愛いなと」
「…うう、何それ」
「悪い悪い。名無しは派手なのが嫌いなんだっけな」
「うん。あ、ターレスの着てるジャケット、好きだなあ…どこに売ってた?」

名無しはターレスが着ている光沢がある黒いジャケットに、興味津々。

「おっ、これが欲しいのか?それなら後で案内してやるよ」
「本当?…でも、ちょっと高そう…」
「ああ。4万ゼニーだ」
「ゲゲゲ!」

ちなみにターレスの格好は
黒いシャツに黒いジャケット、黒いジーンズという真っ黒コーディネートである。(ベルトも黒)
名無しは白いシャツと緑のちょっとサイズが大きいズボン。勿論兄のおさがりだ。

「とりあえず会計を済ませないとな。…おい、名無し?」
「よ…4万…」
(あ、もしかすると…金が足りない?)

察したターレスはくすりと笑って、名無しの鞄から財布を取り出した。

「わ、どうしたの」
「ほらよ」

ちゃりん。ターレスは名無しの財布の中に足りない分だけお金を入れた。

「え、これって…?」
「足りないんだろ?やるよ」
「そ、そんな。いいよ、頑張って貯めるから、その時まで我慢する」
「そうやっていつも身体ぶっ壊してるだろうが」
「う…」

しゅんとする名無しの頭をぽんぽんと優しく叩くと、微笑を投げかける。

「お前、苦労してるもんな。…金は俺が負担するから、何でも言え」
「ううん…ターレスには迷惑かけたくないから」
「…ホントにお人好しなやつ」

「…ターレス」
「ん?」
「これって、デートなのかな」
「俺はデートだと思ってるけどな」

名無しはちょっぴり顔を赤くした。

「…そっか」
「何赤くなってんだよ、今更」
「うっ。…気にするな!」

名無しは赤くなった顔を隠すため、早足でそそくさと次の目的地へ向かった。

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