短編

□いちゃいちゃ
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地獄に着いてから一週間経った。
名無しは身体中ボロボロで、精神的にも限界が来ていた。
だが、後悔はしていない。痛い目にあって当然だと思っているからだ。
そして…今日も針の山地獄の大量の針によって名無しは身体中を血だらけにしていた。


(苦しい…痛い…でも、大丈夫…苦しい思いをして当然なんだ)


そうして、名無しは痛さのあまり、苦しみの叫びをあげたり、
口から血を吐いたりしながら、何度もそう思った。





「はあ…はあ…」

針の山地獄から解放され、名無しはうつ伏せになって地面に倒れた。
腐った血の臭いと、血の池地獄のむんむんとした臭いに思わず目を瞑る。
しばらくじっとしていると、足音が聞こえてきた。
誰かが此方へ向かってくる。ごつごつした地面を踏む音は、段々大きくなっていく。
そして、足音が消えた。名無しは目を開けた。


「ベジータ…?」
「名無し…大丈夫か?」


ベジータも名無しのように、血だらけの格好だった。
名無しとベジータは、お互い別々の地獄で苦しんでいたのだ。


「僕は大丈夫。ベジータは?」
「俺はもう慣れた。だから大丈夫だ」
「良かった…」
「立てるか?」
「うん…よっ…と」


名無しはゆっくりと立ち上がり、服に付いた埃を払った。
といっても、服はもうほとんど破けていたが…。


「今日はどうするんだ?」
「えっとね…ベジータと寝たいんだけど…いいかな?」
「分かった。…俺もお前と寝たい」
「本当? ありがとう…じゃあ、行こう」


ベジータと名無しは、毎日必ず一度は顔を合わせる。
そして、沢山話をしてから就寝する。それを毎日繰り返していた。
名無しは、ベジータと会うだけで、身体の痛みが吹っ飛んでいくような気がした。それはベジータも同じだった。
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