短編

□おれとおまえで2
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名無しが居ない狭い家の中で、名無しの家族達は帰ってこない名無しの身を心配していた。


「名無しったら、帰ってこないわね…もう3日経ったわ」
「そうだなあ、連絡もないし、城の中に居るんじゃないのか?」
「てことは、泊まってるってことだよな…失礼なことしてないといいんだけど…」




さて、話はさかのぼって、3日前のこと…。名無しとベジータは、ベジータ王に、将来結婚するということを報告した。
王は予想外なことに、喜んでいた。二人はてっきり、反対すると思っていたのだ。
だが、王は名無しを気に入っていたので、あっさりと承諾したのであった。ベジータと名無しは、胸をなでおろした。
そして今、名無しはベジータの部屋に泊まらせてもらっていた。(ベジータが泊まらないかと誘ったのだ)
名無しは、心の隅では、そろそろ家に帰らなければ、とは思っているものの、ベジータから離れたくなかった。
とても一人で寝るには勿体無いくらいベッドは広かった。
ふかふかのベッドにやわらかい枕。名無しは幸せを感じながら、ベジータと一緒に横になっていた。


「おうじ、あとでしゅぎょうしようね」
「そうだな。だがそのまえに、きすするぞ」
「うん!」


名無しはベジータに抱きつくと、唇を自分から重ねた。
指と指を重ねて、角度を変えながら何度もキスをする。


「お、おいっ、名無し…」
「?」


キスを繰り返していると、ベジータは突然唇を離し、名無しの唇に軽く指で触れた。


「そんなにきすしたら、おれ…」
「だめ?」
「い、いや、だめとか、そういうわけではない…そ、その…」


ベジータは、視線を下に向けると、手を動かし、熱くなった下半身に触れた。
膨らんでいて、じんわりと濡れている。ベジータは顔を更に赤く染めた。


(くそ、かんじてしまった…たかがキスくらいで…)


「王子?」
「あっ」


名無しがこちらの顔を覗き込んでいたので、あわてて視線を名無しのほうへ向けた。


「な、なんでもない。…こんどは、おれからしてやる」
「えっ、ふあっ」


にや、と口角を上げて笑ってみせると、唇を押し付けた。
そして、名無しにも勃起させてやろうと思うと、小さな舌をぬるり、と侵入させた。


「ん、ふっ、う」


名無しは怖くて舌を引っ込めるが、結局ベジータの舌に捕まり絡まってしまった。
そして、段々苦しくなってきたので、ベジータの胸を叩いた。
すると彼は、名残惜しそうに唇を離した。口の中がぬめぬめして、身体が震えた。


「王子…」
「…ふん、きょうはこれくらいでかんべんしてやる」


本当はこのまま抱いてやろうと思っていたが、部下の者達に見つかったりでもしたら、厄介なことになるのでやめた。
名無しの額にキスを落とすと、戦闘ジャケットを身につけ、手袋をはめる。
真っ赤なマントを翻し、名無しの手をとった。


「名無し、いくぞ。きょうはしっぽをきたえてやるからな」
「うん。しっぽにぎられると、へんなこえでちゃうから、つかまれてもへいきになりたいな」
「…ふん」


そして、トレーニングが始まるのであった。

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