ハイキュー

□気まぐれ
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練習終わりの昼下がり。赤葦は木兎に誘われたため、木兎の家に来ていた。

別に、来たからと言って何をするわけでもなく。只一緒に居る、というだけだった。家に来て一時間程だが特に何もしていない。流石に少し暇になる。


赤葦は今まで読んでいた本を適当に机の上に置き、ソファーに座りテレビを見ている木兎の近くへ行く。

少し離れて後ろに立ってみたが気づいてはいないようだった。しかし、それは自分にとって好都合だった。


あまり音を立てないように木兎の後ろへ回る。そして腕を回し此方を向かせると、木兎の唇に軽く自分の唇を重ねた。短い、触れるだけのキス。


「えっ…あ、赤葦っ…!?」


木兎は混乱していた。いつも此方からキスしようとしたら逃げるし、してって言ってもめっちゃ嫌そうだし。だから自分からしてくれたのは凄く嬉しかった。


「何ですか?」

「っ〜…!!」


そう言って人差し指を口元に当てて得意気に笑う赤葦は、ずるいと思う。けど、真っ赤になる木兎を見て、赤葦は少しいい気分だった。いつもは自分ばかりされてて赤くなってしまうから。


ゆっくりと歩いて行き、木兎の隣に腰掛ける。背中を向けて、触れるか触れないかの距離。それに木兎はドキドキしていた。いつもと違う雰囲気。少し動けば触れあう距離。だけど、何か貴方から動くのはダメ。とでも言われているようなもどかしい感じだった。


最初はどちらも動かずにいたが、少しの間をあけ赤葦がぴとっと手を軽く木兎の指に重ねた。もう、完全に赤葦のペースだった。先程少し触れた手をしっかりと重ね、指を絡める。その手つきはいやらしくて、すっかり木兎は見入っていた。


赤葦はくるっと方向を変えて、木兎と向き合う形になった。手はそのまま絡め、二度目の口付けをした。


今度は、長く。


その内木兎の方から舌を入れ、キスは激しくなっていった。


「んっ……ん、あ…っ。」


「っ…。」


段々息が乱れてくる。赤葦の頬は赤く、口からは二人の混ざった液が垂れていた。その表情は妙に色っぽく、まさに妖艶な雰囲気という感じだっだ。


「んっ…。」


口を離すと、息を乱していたはずの赤葦がすぐさま、木兎の口を塞いだ。

その目はとろんとしていたが、しっかりと獲物を捕らえているような、そんな表情。


「ん…んっ……ぁあ、ん…。」


しかし、そんな表情も長く続いてはいなかった。赤葦が口を離そうとしても、木兎がそれを許さなかったのだ。


「んっ、やぁ…ぼくとさ…んんっ、離…してっ、あ…っ。」

「…ダメ。」


まるでさっきの仕返し、とでも言うように木兎は赤葦の口内を犯していった。


「っあ……。」



ようやく解放された時には赤葦は少しクラクラしていた。ちょっと調子乗りすぎたなと思う。誘ったのは自分な訳だし、逃げるつもりもないからいいけれど。


「なんか、今日の赤葦…えろい。」


何て言うか、超ド直球に言ってくるなと思い、少し笑う。木兎は意味がわからず、不思議そうな顔をしていた。


「そうですか。なら、もっとしてあげましょうか…?」


赤葦は挑発するように四つん這いで木兎の上に股がり、口角を上げる。自分でも少し驚いている。こんなに積極的に行ったこともなかったし、自分がえろいのかなんてわからないし。


「い、いやっ…これ以上は無理だっ!やるなら俺が…」


木兎は何故か焦り気味で、手が空中であわあわしている。どんだけ自分が攻められるのが嫌なんだよ…と少し呆れるが、その半面愛らしいなと思ってしまう自分も自分だ。


「ふふっ、わかりました。」


赤葦は自分の考えている事がおかしく思えて、恥ずかしくて木兎に抱きついた。木兎からその表情は見えなかったが、赤葦の声は何だか嬉しそうだった。


「あのね、木兎さん。」

「ん?」


ふと、呼ばれた為赤葦の方を向くと肩を押さえられ、耳元で囁かれた。



「俺だって、甘えたい時もあるんですよ。」


そう言って、赤葦は木兎の耳に口付けをした。
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