ハイキュー
□お疲れさま
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「ん”んーっ……つっかれたー……。」
今日は一段と疲れていた。特に理由ってのもないんだけど、調子よくていつもより動いたし、その後に監督に練習試合についてで呼ばれて話もしたし。そのせいか、時間も結構経っている。とっとと着替えて帰んねーとなぁ。
部室前まで来て、ドアを開けた。
ぼーっとしながら入った為か最初は気がつかなかった。時間も時間で誰もいないと思っていた部室に、人影があった。
「夜久…?」
そう。そこには夜久がいたのだ。しかも俺のロッカーにのよしかかって。ちなみに言うと、ロッカーは隣だけど。
「おーい。」
頬をツンツンして見るが起きる気配はない。結構ぐっすり寝ているみたいだ。
しかし困った。ただ寝てるだけなら俺が連れていけばいいものの、寝ている場所が俺のロッカーの前だなんて。
うーん…やっぱ起こさなきゃいけないんだろうけど、起こしたくねぇ……。寝顔めちゃくちゃ可愛い。
「夜久サーン?」
「んっ……」
俺は悪戯するように夜久の首筋を指先でなぞった。すると、小さく声が漏れた。起きてたら、殺されるんだろうな…。
て、いうか…今更って感じなのだけれど、夜久の服装やばいんだよなぁ。着替えの途中で寝てしまったのか、下はパンツで上はワイシャツのみだった。
こーんな格好して、襲われたらどうするんだよ、俺に。
「起きろー、夜久ー。」
「ん……んぁ……。」
次は肩をトントン叩いてやるが、まだ起きない。……しょうがない。着替えてから起こすことにするか。
とりあえず夜久を移動させようと背中と足へと腕を回し、抱き上げようとした瞬間、
「んっ………、え、くろ…お…?」
「あっ……」
最悪だ。このタイミングで普通起きるか!?やばい、絶対殴られるよこれどうしようどうしようどうしよう……
しかし、夜久は混乱しているようでキョロキョロと周りを見回した後、状況を理解したのか顔を真っ赤に染め、俺の肩をぐいぐいと押してきた。
「ごめ…、とりあえずおろして……っ。」
「あっ…おう……す、すまん。」
なんだか恥ずかしいような雰囲気になってしまい、言われた通り夜久をおろした。
その後、気まずかったが二人共着替え始めた。なるべく目が合わないようにして準備を済ませた。
「や、夜久、今日は疲れてたのか…?」
「へっ…!?」
俺のいきなりの質問に夜久は戸惑っていた。そりゃそうだよなぁ。なんかテンパって変な質問しちまったし。疲れてんのなんて当たり前だろーが。夜久はサボったり手抜くようなやつじゃないんだし。
「ま、まぁ…リエーフ煩いしなー。結局疲れるよ。」
「だ、だよな。」
リエーフ、な。今日は夜久がリエーフにレシーブを教えていた。最近夜久はリエーフといることが多いい。練習を通して徐々に仲良くなっているようだった。…仲良いのはいいんだけど、最近構い過ぎじゃないか?と思ってしまうのは、只の嫉妬だ。全く、我ながら情けねー。
「そういう黒尾も、こんな時間まで居たんだな。」
「あー……。監督から練習試合のことと、これからの一年のこととかについて話してたんだよ。」
「へー…。」
一年っていっても、主にリエーフなんだがな。夜久はそれをわかっているのかいないのか、頑張んなきゃな、と苦笑いで言った。
まぁ、リエーフのお世話っつーか練習に付き合うのは大体俺と夜久だしな。研磨は気まぐれだし。
「そういえば、この前一年がー…………。」
そのあとも、着替えや準備をしながら他愛のない話をしていた。と言っても、ほとんど部活の事なんだけど。
着替えるのは夜久の方が早く、俺が終わるのを後ろにある椅子に座って待っていた。その間にも会話はしていたが、段々と夜久の返事が遅くなっていき、終いには何も返ってこなくなった。
まさかとは思い後ろを向くと、やはり寝ていた。まあ、さっきよりは眠り深くないだろうし声かければ起きるだろう。
だが、ダメだった。俺は好奇心に勝てなかった。結局また夜久に悪戯をすることにした。