ショートショート

コネタです。
◆居場所 

「もしもしー!」
5人で歌う、初めての生放送。
出番が終わって楽屋に戻ると、衣装のまま、すぐに海人が電話をかける。
『もしもし?海人?』
スピーカーにすると、聞き慣れた声が流れてきた。
汗を拭きながら、他の4人も海人の周りに集まってその声に耳を傾ける。
「うん。今ベストアーティスト見てた?」
『見てたよ、みんなかっこよかった!』
「誰が一番かっこよかった?」
横から廉が仕掛けると、予想通りの答えが返ってくる。
『そうだなー。岸くん…』
「えっ俺!?マジか!!」
『…以外のみんな』
「んでだよ!俺入ってねーじゃん!」
電話の向こうで、ふふふと笑う声が聞こえて、みんなもつられて笑い出した。

「玄樹の場所空けてたの分かった?」
紫耀がいつものように優しく尋ねる。
「うん、分かった。ありがとう」
明るい返事が聞こえたけれど、物足りなさは否めなくて。
顔見て話してぇな、と岸がふと呟いた。

「玄樹、みんなが顔見たいって。掛け直していい?」
『えっ、今は無理!』
ずっと黙って聞いていた神宮寺が話しかけると、玄樹の声のトーンがほんの少し上がる。
「なんで?」
『髪の毛ぐちゃぐちゃだし、変な服着てるから』
「大丈夫だよ、玄樹はどんなカッコしてても可愛いから」
『えー…じゃあ服映さないように顔めっちゃアップにする』
「うん、じゃあいったん切るよ」
『髪の毛直すから10分後にかけ直して!』
「わかった」

「すごい…さすが国民の彼氏のテクニック」と紫耀。
「岸くん、今のちゃんとメモした?絶対芝居とかの役に立つって」廉がそう言うと、
「え?どこからメモすれば良かったのかもわかんねー俺…」
と呆然とする岸くん。

6人は今日も元気です♡

2018/11/29(Thu) 00:21 

◆雑誌妄想 

「玄樹、そろそろだぞ」
「…ん」
「ほら、起きろって」
「……っさい」
「終わったら、美味しいもん食いにいこ」
「マジで?神宮寺のおごり?」
「やっぱ起きてんじゃん笑」
「昨日あんま寝てない」
「そっか、寝てないのか」
「うん」
「じゃあ、俺もちょっとだけ寝ようかな」
「そうしなよ」
「5分だけな」
「うん」

「ちょっとー!なんで神宮寺まで寝てんの?撮影だから玄樹くん呼んでくるって話だったよね?」

新しい【じぐいわと俺】。
カイちゃん頑張れ!笑

2018/10/24(Wed) 11:02 

◆告白 

「玄樹、頼みがあんだけど」
「…なに」
玄樹がiPhoneから視線を外し、チラッと神宮寺を見上げてそう返事をした。
デビューしてから信じられないほどのスケジュールをこなす毎日。疲れ切っているからか、今夜も機嫌が悪い。

「チューしていい?」
「…なに言ってんの?」
真っ直ぐ下ろした長めの前髪の隙間から神宮寺を睨みつける。
「やっぱダメか」
睨まれても凄まれてもどこ吹く風、といった感じの神宮寺は、またドラマの台本に視線を落とした。
深夜、岩橋の部屋で、それぞれが好きなことをして、お互いに干渉しない大切な時間が過ぎていく。

「ねぇ」
今度は岩橋が話しかける。
「ん?」
「さっきのさ」
「うん」
「冗談で言ってんならぶっ飛ばすよ」
「本気だよ。俺の顔見たら分かんだろ?」
「…なら、いいけど」
胸元に光るクラスのネックレスをいじりながら消え入りそうな声で玄樹が言うと、神宮寺の顔が近づいて、掠めるようなキスをした。
目をギュッと閉じたまま固まる玄樹を見て、もう一度、今度は下からすくい上げるように深く口付ける。

「好きだよ、玄樹」
「…大事なことをさ、なんでそんな簡単に言うの?」
「え、こういう風にさらっと告白されるの好きでしょ?こう見えて俺、めちゃくちゃ頭の中でリハーサルしたんだけど」
「…嫌いじゃないよ」
「素直じゃないなぁ」
「神宮寺はさ、俺が何考えてるか、全部分かってるじゃん」
「そうだね」
「じゃあ、今何考えてるか分かる?」
「うーん。もう一回チューしたい?」
「…どうだろね」
「素直じゃないなぁ」

笑いながら、3度目のキスを。

2018/10/21(Sun) 00:32 

◆廉くんの疑問 

デビューに向けて、怒濤の取材が続く毎日。
今日もまた、1つのスタジオで6人それぞれが撮影とインタビューを繰り返す。
今は平野と岸が撮影、海人と岩橋がインタビュー中。廉と神宮寺は広いスタジオの一角に置かれたテーブルで、お菓子をつまみながら待機しているところ。

「なぁ、俺すごい疑問に思うんやけど」
うん?と、手にしたファッション雑誌をめくりながら神宮寺が返事する。
「玄樹って見た目ああだし、ほんわかしてて可愛くて、俺らにもめっちゃ優しいやん?」
「うん」
二人の視線は、インタビューに答えている岩橋に自然と集まる。笑窪を見せて笑うその表情は、雑誌やテレビでファンに見せる岩橋の顔そのものだ。

「取材とかでも、まあ岸くんは置いといて、みんな玄樹のイメージっておんなじやん」
「まあ、そうだね」
「こないだジンが玄樹のこと狂犬って言ってて、マジか!ってなった。ほんまにそんなことあるん?」
「あるある。俺の前だと結構すぐ機嫌悪くなるし、顔に出すし。二人だけだとすごいよ、携帯投げられたことあるもん俺」
「いやそれ!ほんま信じられん」
「でも、廉たちの前の玄樹がウソなわけじゃないと思うよ。みんなの前だと、なりたい自分に自然となれるのかもね」
「ジンの前の玄樹は何なん?」
廉のその言葉に、少しだけ考え込む神宮寺。
「んー。他の人には見せてない、俺だけに見せる玄樹って感じ?」
「それってやっぱ嬉しいもんなん?」
「そうだねー。岸くんも知らない玄樹のこと、俺いっぱい知ってるから」
ニヤリと笑う神宮寺に、廉が大げさに驚いてみせる。
「うわ、なんか分からんけどエロいな!」

「なになに?二人でなんか盛り上がってるじゃん!」
いつの間に取材を終えたのか、海人が二人の間に割って入ってくる。
「神宮寺と俺の秘密の話やから、これは教えられんな」
「なんで?いいじゃん、教えてよ!ね、玄樹くん」
「…俺は別にいい」
3人とは少し離れたところに立っていた岩橋は、踵を返すとスタジオのドアの方へ歩いていく。

「廉、少し見られるかもよ」
神宮寺はそう言って廉の肩を軽く叩くと、岩橋のあとを追って走り出した。
岩橋に追いつくと、何か言葉をかけて肩に手をまわす。
廉の位置からは何を言っていたか聞こえなかったけれど、神宮寺の手を払いのける岩橋の横顔がチラッと見えた。
「あれが狂犬か…」
怯まずに神宮寺がしきりに話しかけながら腰に手をまわすと、岩橋はもう振り払うこともなく、そのまま二人はスタジオを出て行った。
「てか、ただのヤキモチやきの小型犬やん!」
「なに?動物の話?」
独り言をつぶやく廉に、質問を続ける海人くんなのでした。

2018/05/16(Wed) 22:31 

◆玄樹くんと僕。 

「俺、最近ものすごい発見したんだよね!」
「……」
朝の番組の収録で、岩橋と海人の二人が銀座へ。撮影用のカメラが止まってしばらくすると、マトリョーシカの色を塗りながら、海人がもう一度話しかけた。

「ねー、玄樹くん聞いてる?」
「ごめん、集中して聞いてなかった。なに?」
自分のマトリョーシカに白い色を丁寧に塗りながら、目を離さずに岩橋がそう答える。

「俺ね、分かったの!神宮寺がモテる理由」
ぶっちゃけそんな国民的彼氏でもなくない?って思ってたんだけどー、と岩橋の返事も聞かずに話し続ける。
「この間さ、空手の撮影あったじゃん!神宮寺が板とか割るやつ」
「うん」
「バット蹴ったあとさ、神宮寺が玄樹くんのとこ来て、大丈夫大丈夫って頭ポンポンしたじゃん!あれやばかったよね!」
「……」
「蹴ってめっちゃ痛いの自分なのにさ、心配してた玄樹くんの頭ポンポンするのって超やばくない?さすが国彼ーーってなった!」
廉と俺は素通りされたけど〜と、笑いながら岩橋の顔を覗き込む。

「…そう?普通じゃない?」
「えー!玄樹くん頭ポンポンされてめっちゃ嬉しそうだったじゃん。完全に彼氏の試合観に来た彼女だったし!」
てか今も嬉しそうだけどー?、と最後に余計な一言を言って、「うるさい!」と白い絵の具を顔に塗られた海くんなのでした。

2018/05/13(Sun) 20:09 

◆大切な日 

朝、電話でずっと夢見てきた言葉を言われた。
呼び出されて最初に会った岸くんが、俺の顔を見ながら目を何度も擦ってて。俺は隣に並んでその肩をぎゅって抱きしめて、今までで一番の緊張と、期待と興奮と、もう一つの気持ちを噛み締めてた。

「朝、電話かかってきてからさ、イワゲンすぐにジンさんに電話したんだろ?」
舞台が終わってシャワーを浴びて、ようやく落ち着いたころ、岸くんがニヤニヤしながら言う。
「してないよ」
俺がそう答えたら、すぐ後ろで神宮寺が「うん、LINEだけだよ」って答えた。
「なんだよマジで!?ぜってーお前ら2人で話したいだろうと思って、俺、電話するの10分も我慢したんだぜ?」
「よく言うよ、5分ぐらいで掛けてきたじゃん」
「だって我慢できないっしょ!」
3人で大笑いして、やっと緊張が少し解けて、長い、一生忘れられない一日が終わってく。

今日はもう遅いし、みんな家族が待ってるからって、タクシーでそれぞれ帰ることになった。
神宮寺が「俺、コンビニ寄ってから自分でタクシー呼ぶから大丈夫」と事務所のバンに乗る。俺は黙って一緒に乗り込んで、神宮寺の隣に座った。
走り出した車が有楽町からどんどん離れていく。坂道でガタンって揺れて、肩がぶつかって、笑顔の神宮寺と目が合った。その瞬間、朝から感じてたもう一つの気持ちが、急に溢れて泣きそうになる。

「あ、ここで降ります」
先に降りた神宮寺が、俺の手を持ってどんどん歩いていく。ずっと降ってた雨も少しだけやんできてた。
しばらく歩いて入っていった小さい公園はもう真っ暗で、誰もいなくて。
「昔さ、よく玄樹の家の近くの公園とかカラオケで振りの練習したよね」
やめろってば、今そういうセリフやばいから。
「これからも練習できるね」
「……」
朝からずっと、嬉しいことなんだから泣かないって決めてたのに。
立ち止まって顔ぐちゃぐちゃにして泣き出したら、神宮寺が「泣かないって決めてたの?」って言って片手で抱き寄せてくれた。

朝、電話がきて。
めっちゃ不安だった。
なんだか怖かった。
でもその何百倍も嬉しかった。

3人でデビューできたこと。
6人でデビューできること。
ファンの子たちを喜ばせてあげられること。

それと、もう言葉にしてみんなの前では言えないけど、今だけはもう一つの気持ちを伝えたくて。
「…一緒に、デビューできた」
泣き声の間にやっと言えた言葉。
うん、って言った神宮寺の声もかすかに震えてたから。
俺も精一杯背伸びして、ひとつ年下で、同期で、仲間で、ライバルで、一番大切な人を思いっきり抱きしめた。

今までも、これからもずっと一緒にいられるって約束された、大切な夜に。

2018/01/17(Wed) 23:58 

◆誕生日前夜 

「神宮寺、顔こわいよ」
「やっぱ?サングラスしてるからバレないと思ったんだけど」

見学に来てくれた後輩たちとご飯に行き、すっかり遅くなった帰り道。
いつものように二人で歩いていると、すれ違ったカップルを神宮寺がちらっと見ていて。その険しい顔つきに、思わず岩橋が注意したのだった。

「そんなに羨ましい?」
「そりゃ羨ましいっしょ?」
俺はべつに、と真っ直ぐ前を向く岩橋。

日曜の夜、人も街もキラキラして、その中を誰にも気付かれずに歩く二人。
岩橋が少しゆっくり歩けば、神宮寺がそれに合わせて。
神宮寺が立ち止まって店先を覗き込めば、岩橋も一緒に立ち止まる。

まっすぐ帰ればすぐなのに、今夜はなぜだか二人で寄り道をしたくて。

「あ、やべ!降ってきた」
ほんの少し止んでいた雨が、また本格的に降り始めて。岩橋の広げた小さなビニール傘に、背の高い神宮寺が忍びこむ。

「せまっ」
「しょうがないじゃん。傘置いてきちゃったんだもん」
明日誕生日だし許して? と岩橋の顔を覗き込むと、軽く睨まれる。
「さっきみんなでケーキあげたじゃん!」
「え?あれで終わり?マジで?」
「さあね」
「いわぴっぴからは、何にもなし?」
「かなぴっぴからもらえば?」
いやいやあれはステージトークでしょ、と言い訳をしながら、二人で並んで歩き続ける。

いつのまにか、傘を持つのは神宮寺の担当になっていた。
少し岩橋のほうに寄せてさしている小さな傘は、反対側の神宮寺の肩を濡らしていて。
「神宮寺、コンビニで傘買う?」
「いや、俺はこれでいいよ」
その返事に、照れたように笑う岩橋を見て、神宮寺もつられて笑顔になる。

「あ」
信号で止まった二人の前には、同じように相合い傘をしている仲の良さそうなカップルの姿。
「神宮寺、羨ましいんでしょ」
「いや。本音言うと、俺別に全然羨ましくないよ」
「ちょ…神宮寺、顔近い!」

二人で過ごす、何回目かの誕生日。

「じゃあ少し離れたほうがいい?」
濡れながら、少し体を離す神宮寺。
「それもだめ!」

これからも、その先も。
ずっと俺から離れないでね。

2017/10/29(Sun) 23:18 

◆電話 

深夜、神宮寺のiPhoneの画面が明るくなって「Genki」の文字が浮かび上がる。

『ねえ、この間のさ』
「うん」
いきなり本題から入る岩橋に、神宮寺も気にせず返事をする。

『デニムあるじゃん?』
「どれ?ダメージのやつ?」
『そう。明日あれ履いていきたいんだけど、上なに着るか迷ってる』
「明日寒いよ」
『わかってる。だからきいてんの!』
岩橋の声がiPhoneから漏れて聞こえたのか、神宮寺の愛犬が走ってきてじゃれてくる。
「デニム買ったとき、俺が選んであげた黒のトップスあるじゃん。あれは?」
『寒いからやだ』
「あーそっか。じゃあ、去年買った少し長めのやつ重ね着するとか」
『…どれのこと言ってんのかわかんない』
いつまでも続く岩橋の拗ねたような言い方に、ようやく本音に気づく。

「明日って、玄樹も1時に渋谷のスタジオ?」
『うん』
「じゃあ11時過ぎにそっち行くよ。俺が服選ぶから」
『うん』
「あと、帰りに服買いに行こっか」
『うん。神宮寺買いする』
あははっ、って二人で笑って。

『なんかさあ』
「うん?」
『神宮寺と離れてるとめんどくさい』
「あー、確かに」
『ハタチになったら一緒に住もっか』
「もうすぐなっちゃうよ」
『じゃあ今年のプレゼントはマンションで』
「お前が言うとちょっと本気っぽくて怖いんだけど」
『俺の誕生日は、お返しに車買って』
「いやいやいや」

二時間前まで一緒にいた二人の、秋の夜長の妄想はしばらく続くのでした。

2017/10/19(Thu) 08:02 

◆岸くん誕生日コネタ 

「岸くん誕生日おめでとう!」
「おめでとー!」
「よっ、岸おじさん!」
「いや、おじさんじゃねーし!」
そう言いながら、顔をくしゃくしゃにして岸が笑う。
去年に続いて、今年の岸の誕生日も公演中。
誰からも好かれる岸らしく、この日はみんながつられて笑顔になる。

「そういえば、今日ラピュタやるよね」
岩橋が嬉しそうに言う。
「なんか毎回見ちゃうんだよな」
ねー、と二人で頷きあうじぐいわ。
「いや俺の誕生日ネタ、もう終わりかよ!」
「違うんだって!俺思ったんだけど、岸くんってジブリに出てくる男の子みたいだよね」
あーわかる!と楽屋にいた全員が頷く。
「マジで?俺ちょー嬉しいんだけど!」

「めっちゃ元気なとことか」
「歯見せて笑うとことかソックリ!」
「坂道一気に走ってのぼりそうだよな」
「パンにのせた目玉焼き、一口で食べそう」
海人の一言で全員爆笑。

「んじゃ、岸くんパズー?」
神宮寺の提案に、岩橋が悪ノリする。
「助けてー!パズー!!」
立ち上がって両手を広げる岩橋に、戸惑う岸。
「……えっ、お、俺?」
「パーーズーーーー!!」
岩橋の可憐な演技は続く。
ほら返事してあげなよ、と神宮寺がつつく。すると岸が頭をかきながら呟いた。
「ジ…、ジーター?」
「ちょ、岸くん今なんて?」
横にいた廉が肩を震わせて笑い出す。
「え、ジータ…じゃなかったっけ?」
「なにそれ!そんな名前の女の子、絶対可愛くないじゃん!」
プンプンする、ジータ・玄樹・ウル・ラピュタ。

「てか岸くん、パズーっていうよりあの子に似てない?」
宮近が笑いながら間に割って入ってくる。
「あの子って?」
「ほら、金魚の」
「ポニョ?」
「分かった!宗介だ」
夏の岸くんの髪型にそっくりじゃん、と宮近。

そんなこんなで、みんなで泣くほど笑った岸くんの誕生日なのでした。

Happy birthday 岸くん!

2017/09/29(Fri) 23:28 

◆王子様とお姫様 

「ジンさん、そこのブラシ取って」
「ごめん、無理」
リハーサル中の、いつもの楽屋。
神宮寺の近くに置かれたブラシと、困った表情の神宮寺を交互に見ながら、「なんでだよ、目の前にあんじゃん」と岸。

「今動けないの、俺」
神宮寺がジェスチャーで下を指さすと、なぜか自分の足元を見てしまう。
「いや岸くん、そっちじゃなくて」
俺の方見て、と神宮寺が笑い出す。
「なんだよ、分かりにくいって」
仕方なく立ち上がって神宮寺の椅子の方へまわる。
「あー、なるほどね」
テーブルで隠れて見えなかったけれど、自分の椅子に座ったまま神宮寺の膝に倒れ込んで眠る岩橋がいた。
「マジで寝てんの?」
「うん、熟睡してる」

単独公演のリハーサルは、三人の気合いもいつもと違っていて、自然と時間も長引く。その分、当然疲れもたまっていた。
「疲れてんだな」
「玄樹、いま空いてる時間は全部野球だから」
疲れがたまると急にエンジン止まっちゃうんだよな、と言いながら、そっと岩橋の肩に手を置く。
「そっかー」
二人が岩橋を見つめる視線は、限りなく優しかった。

「よし、俺そこのコンビニでイワゲンの好きなお菓子買ってきてやるよ。神宮寺も何か飲む?」
「マジで?岸くんのおごり!?」
いきなり起き上がった岩橋に、驚く岸。
「んだよ、寝たフリかよ!」
「途中から起きてたけど、なんかタイミング見失っちゃってさ」

俺って二人に愛されてるね!と嬉しそうに笑う岩橋姫なのでした。

prince、単独公演がんばれー!

2017/07/27(Thu) 22:54 

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