Short story

□足の大きさが、違う
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*足の大きさが、違う*





千歳は四天宝寺に九州から来た転校生で、目の治療の為に大阪へやって来た。だから、彼は一人暮らしな訳で、今日も彼の部屋に私はお邪魔している。
彼の部屋は散らかってはいない。寧ろ、物が少ない。ベッドに机、タンス。そのくらいしか無く、唯一シンプルな部屋にあるのは、大きなトトロのぬいぐるみと、ジジのクッション。
そう、彼はジブリ好きなのだ。
確かにほんわりとした見た目の彼からはかけ離れてたものではなく、何となくイメージがつく。
さて、そんな部屋に私はお邪魔している訳だが、先程から何故かラピュタを観ている。彼の部屋には凄いことにジブリアニメのDVDが揃っているのだ。
やっとそのラピュタを見終えると、時計の針は七時過ぎ。
「ラピュタはやっぱりいいばい。」
「ほんまに好きなんやね、千歳は。」
「おん!それよか、随分前から聞いてみたいこつがあるけん。」
「なん?」
「碧の方言て、白石や忍足とは違うけん、なして?」
「そらうちが京都出身やさかい。」
私がそういうと、彼は納得したような顔をする。
彼と私は足を伸ばして床に座っている。床と言っても、フローリングではなく、きちんとカーペットが敷いてある。
「千歳の足は大きいんやなあ、うちと比べると、まるっきしちゃう。」
「碧の足はこまかー、むぞらしか。」
くすくすと楽しそうに彼は言う。
「当たり前やさかい、千歳が大き過ぎるんや。」
「そんなこつないばい。」
「そんなことあるで。」
少し軽く千歳の背中を叩くと、千歳はまた穏やかに笑った。
この笑顔がいつまでも見れたらと、思う。



足の大きさが、違う
──貴方の足は大きいね

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