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「頑張っておられるようですね。ユナさんの元気なお姿を拝見できて嬉しく思います」
お茶を出して一息ついた所で、アスランが優しく声をかけた。
彼もまた、自分の為に粉骨砕身してくれた一人である。
「アスランさんのお陰でこうしてなに不自由なくお勉強もさせていただいてます。本当に、感謝しております」
深々と頭を下げるが、アスランはユナの為と言うよりも隣にいる皇帝陛下の為に動いたという自覚があるので慌てて否定した。
「滅相もございません、頭を上げてください」
「そうそう、俺にもこいつにも気を遣う必要はないよ。
自分の夢を叶える事に集中するんだぞ」
ここに来てからニヤニヤが止まらないピオニーの幸せそうな顔を見て、アスランはこの顔を見る為なのだと心の中で思った。
「……はい。ありがとうございます」
「ところでフィリップ、明日の事だが、毎年恒例の荷物が届くからよろしくな」
「?」
不思議そうな顔を浮かべ、質問したそうなユナを遮ってフィリップが答えた。
「陛下、その件につきましては
ご心配いりません」
「ん?おぅ、そうか」
なんとなくフィリップの笑みから焦りを感じ取ったピオニーとアスランはその話を途中でやめた。
「さて、この辺りでお暇しなければ、陛下にはまだ公務が残ってますよ」
アスランが腕時計を確認して切り上げた。勿論このままサボりたいピオニーは不満を口にするが、アスランと一緒では敵わない。
「ユナさん、先に表へ出て馭者にお帰りになると伝えてきて下さい」
「はい」
パタパタと出ていくのを確認すると、男達三人は声を潜めて先程の事を話し合った。
「明日はどうなってるんだ?」
「実を言いますと、ジェイド様から明日はユナさんをお休みにさせるよ
う指示されていまして」
「何故また明日なんでしょうね」
「……ったく、あいつは」
不思議そうに首を捻るアスランと、長年の付き合いから何かを察したピオニー。
「だから毎年俺みたいに強引にやらねぇと、な。あいつ素直じゃないんだから」
フィリップは笑顔で主人の親友を見つめた。
「えぇ、毎年陛下のサプライズを私も楽しみにしている一人でございます」
「え!それは本当にですか!?。正直に言って下さって結構ですよ?」
アスランは衝撃を受けてフィリップを追求するが笑ってごまかされた。