HOWL BE QUIET

□竹縄航太
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望愛はステージをゆっくりと見据えた。
望愛が物思いに耽っている間にMCに入っていた。ベースの橋本佳紀とドラムの岩野亨、ギターの黒木健志のじゃれあいを見て笑う竹縄。
正直あたしは期待していたんだ。竹縄さんはきっとあたしを特別に思ってる、って。
「歌うね」
話がひと段落着いたところで竹縄がMCを終了させる。
「今日は本当にありがとう、最後の曲です」
From Birdcageを高らかに歌い上げてライブが終了した。
「またね」
竹縄がステージから捌け、会場が明るくなった。望愛は会場から出ようと出口に向かう。
そして会場を出た瞬間ぐっと強い力で腕を引かれた。
「久しぶり、和田さん」
汗だくの竹縄が望愛に笑いかけた。
「どうして……」
驚いて何も言えない彼女に竹縄はもう一度笑いかけて口を開いた。
「君も一緒に、逃げ出そうよさあ」
From Birdcageの一節を口ずさんだ竹縄。
「疲れたから打ち上げ明日にしたんだ。だから俺と帰って」
さあ、と竹縄は望愛の腕を引いて歩き出した。
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