HOWL BE QUIET

□竹縄航太
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――歌の効果って凄い。
望愛は自分でそう思うくらいに早く作り終わって驚いた。
お皿に料理を盛り付け、ダイニングの机に並べる。
竹縄はすぐに気づいて望愛の手伝いをした。彼女はこんなに優しくて気の利く彼氏いないな、と一人微笑む。
向かい合うように席に着くと、竹縄は目を輝かせてい言った。
「凄いね、俺自炊とかあんまり得意じゃなくて、外食とか弁当ばっかりだったから。ありがとう」
いただきます、と箸を取る。
ハンバーグを口にし、「美味しい!」と満面の笑みを浮かべる竹縄。
望愛なりに工夫した料理。野菜がほとんど食べられない竹ちゃんでも野菜が食べれるように。と、ハンバーグ、コンソメスープは細かく刻んだ野菜。また、少し濃いめに味を付けた野菜サラダをレタスで包み、わかりにくいようにしたのである。
「凄いね」
竹縄が呟く。望愛が首を傾けると彼は綺麗な笑顔を彼女に向けた。
「野菜。味とか見た目とかわかりにくいようにしてあるから。俺でも食べられる」
「気づいてくれたの!」
「うん、本当にありがとう」
終始笑顔で会話を弾ませた二人だった。

――次の日。
竹縄はメンバーに自慢していた。
「望愛がさ、俺が野菜食べれるように工夫してくれたんだよね。それが嬉しくて嬉しくて」
「もう惚気話かよ」
黒木が呆れても気にしない竹縄。 幸せオーラが溢れ出ている。
「自分でもびっくりするくらい惚れてる」
いきなり真顔で言い出すものだから、黒木も驚いた。
――竹ちゃんが嬉しいならいいか。
「よかったじゃん、あんまり寂しくさせないであげてよ」
わかってる、と竹縄は笑顔で頷いた。
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