HOWL BE QUIET

□竹縄航太
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竹縄の家と望愛の家が近い事は彼ら自身も知っていた。だが、お互いにどちらかの家に行こうとは言わなかった。
二人の間の微妙な距離感がそうさせていたのだろう。相手の気持ちが分からないのに、そんな大胆な事が出来るほど軽い人間ではない。
だが、付き合うことになった今。二人の距離は近い。
いや、近かったのに近いと思っていなかったのだ。
「歩いて帰れる距離なの?」
何を話していいのかわからないくらい緊張していた二人。付き合うとなると少なからず意識してしまうのが人間である。
そんな中、沈黙を破ったのは望愛だった。
竹縄は頷く。
「望愛ん家もそうでしょ?」
「そう、でも全然会わなかったよね」
「会うほど近くないと思う、俺ん家あのライブハウスから十五分で着くし」
「そうなんだ」
一度会話が始まればトントン拍子で話が続く。
二人で楽しく会話していたらあっという間に竹縄家に着いた。
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