HOWL BE QUIET

□竹縄航太
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仕事帰り、望愛は晩御飯の支度をするため、スーパーに寄っていた。もちろん竹縄には内緒で。
竹縄は重度の偏食である。魚類は鮪しか食べられないし、野菜はレタスのみ。でも、カレーは食べれるというので、具材がよくわからなければ食べれるのでは無いか、と思ったのである。
帰り道で買った食材をどう使うか細かく考えながら歩く。
合鍵で扉を開ける感じが嬉しくて、ついついゆっくり鍵を回してしまう。
「ただいま!」
「おかえりー」
愛しい彼の声と同時にリビングのドアを開けた望愛はキッチン借りていい、と訊く。
「晩飯作ってくれるの?」
「もちろん」
「超嬉しい。手伝おうか?」
「ありがとう。でも大丈夫、すぐ出来る」
実はあまり見られたく無いのだ。そんなに手際が良い訳ではないので。なんとなく恥ずかしいし。
「ありがとう、待ってる」
そう言って竹縄はギターとピアノが置いてある方へ歩いていった。
ギターとピアノは居間の端に置いてある。小さい机と椅子も一緒に置いていて、いつでも曲が書けるようにしている。
竹縄の歌声とピアノ、ギターの音を聴きながら調理を始める望愛。自然と楽しくなってきて、リズムに乗りながら作業をする。
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