コイノヤマイ

□カルテ1
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 だいぶ馴染んできた白衣に腕を通し、肩まで伸びた黒い髪を一つに束ねると、気合を入れるため短く息を吸った。

(よし、今日から小児科病棟ね。頑張らなくちゃ!)

 メディカはロッカーの扉を閉め、足早に更衣室を出た。
左手にはめられた、時計の針は7時を少し過ぎている。

 エレベーターホールに着くとボタンを押し、細く息を吐いた。
まだ朝の7時という時間帯なので、1階の受付ロビーは病院関係者の姿しか見えず、静かだ。

 ここ『西の都の病院』は、世界最高水準の医師と医療設備を備えた総合病院だ。医師たちの知識も医療技術も、また病床数や院内の広さも世界一と言っていいだろう。
そんな世界一を誇る病院に、まさか自分が研修医として採用してもらえるとは、メディカ自身信じられなかった。

 4月から働き始め、3ヶ月が経とうとしている。これまで、産科と麻酔科の2科を回り、今日から小児科での研修医生活が始まる。

”チーン”とエレベーターが到着しドアが開くと、小児科病棟のある3階のボタンを押した。
朝の回診は7時30分からだと、指導医から言われている。

 新しい科の初日に、少しの不安と緊張、そして期待を抱えメディカは3階の小児科病棟のナースステーションへと向かった。
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