コイノヤマイ

□それぞれの日常@
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出張でもない限り、迎えのエアカーは9時に来ることになっている。

トランクスは朝食を終えると、着替えのため自室へと戻った。

見るからに仕立てのいいスーツを身に纏うと眼鏡をかけ、それなりの時計を着ける。

世界有数の企業のトップだ。仕事の時はそれにふさわしい姿でいるよう心掛けている。

身支度を整え部屋を出ると、リビングへと顔を出した。

そこにはソファに座るブラの姿だけで、重力室に行ったのだろう、父、べジータの姿はもうそこには無かった。

「行って来るよ。」

声を掛けるとブラは振り返り

「いってらっしゃーい!」

と、読んでいた雑誌から顔を上げ、にこやかに送り出してくれた。




母であるブルマから社長職を引き継いで2年・・・。
慣れない業務や、あまりの多忙さに最初の1年はあっと言う間に過ぎてしまった。

会長になったブルマは、自宅の研究室に籠り新製品の開発を行ったり、その実績から講演を行うなど多忙な日々を送っている。

本社に顔を出すのは大事な会議や新製品の発表の時くらいで、経営のほとんどはトランクスに任されていた。

日々殺人的量のあの業務を、子育てや研究をしながらこなしていた母をトランクスはただただ尊敬する。

自分は日々の業務だけで、一杯一杯だというのに・・・。

偉大過ぎる科学者である祖父と、誰しもが天才と認める母の存在をプレッシャーに感じ始めたのは最近のことだ。

トランクスはカプセルコーポレーションの3代目として、この先、あの大企業を担って行くことに、少々不安を抱き始めつつあった。
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