コイノヤマイ

□トランクスの憂鬱
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「よし!出来たぞ。」

完成したばかりのタブレットを見つめ電源を入れると、タブレットの画面は明るくなり、カプセルコーポレーションのロゴが浮かび上がる。

機械に命が宿るこの瞬間は、達成感と幸福感が入り乱れ、毎回興奮してしまう。

自分の手で新たな物を生み出した時の喜びは一入(ひとしお)で、それが自分の理論通りに作動した時の喜びは何ものにも代え難いものがある。

こんなふうにメカを作ったり機械いじりが好きなのは、やはり母さんの息子だからだなと実感する。

俺はこの何日か、ずっとこのタブレットの制作に没頭していた。

この程度なら、仕事を終え帰ってからでも十分に作ることが出来た。

これがストレス発散にもなるし、また新商品の開発にも繋がるんだから一石二鳥だ。

機械をいじってる時の満たされた時間に浸っていると、ふと

「やっぱり、俺って機械にしか興味が湧かないのかな・・・。」

と、溜息混じりに呟いた。

数日前にガールフレンドから「別れましょう」と告げられたことを思い出す。

だが、そのことをあっさりと受け入れてしまった俺は、やはり薄情な奴なのかもしれない。

彼女が別れを決めた理由もそれだった。・・・様だ。

「トランクスは、私に・・・女に興味ないでしょ・・・。」

1年近く付き合って、俺の仕事の都合なんかもあり会うこともままならず・・・。

(それじゃあ、不満にもなるだろうな。)

と、彼女の為と思い、あっさり別れを了承すると

「やっぱりトランクスは、自分のことしか考えてないんだね・・・。」

と、寂しそうに呟き、彼女は去って行った。
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