コイノヤマイ

□カルテ3
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 どのくらい経ったのだろう。

 迅速な消火活動のおかげで火の手は収まり、周囲の建物に燃え広がることはなかった。

 しかし、火元となったメディカの住むマンションの失火元であろう5階の角部屋は真っ黒になっており、白い外壁はすすでグレーになっている。

 そして、下の階は消火の際の放水や消火剤の影響で水が滴り落ちていた。

 消火作業が終わり、やじ馬もそこからの悲鳴の様な声もだいぶん落ち着きを取り戻し、人々はそれぞれ散り始めていた。

 メディカがエアカーを降りたあと、ブルマは慌ててエアカーをカプセルに戻すと、その後を追った。

 しかし、マンションの場所がはっきりと分からないのに加え、人の群れに行く手を阻まれ中々思うように進めなかった。

「メディカ先生!!」

 やっとの思いでメディカの姿を見つけると、ブルマは大きな声で叫んだ。しかしその声は届かなかった。

 現場から立ち去っていく人々に逆流して、メディカの傍まで辿り着くと

「先生!!」

 と、肩に手を置き体を揺らした。

「あ……。ブルマさん……」

 自分に気付き力なく発せられた言葉に、ブルマは険しい表情を浮かべた。

「やっぱり、先生のマンションだったの……?」

 目の前の白と黒、そしてグレーの斑になった建物を見つめる。

 隣で頷いたメディカは、ただ建物を見つめていた。
 
 まだ其処かしこで、消防隊員が作業を続けているので当分マンションに近づくことは出来そうにない。

「とりあえず、ウチにいらっしゃい!」

 ブルマはメディカの腕を引っ張り、その場から離れることにした。
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