コイノヤマイ

□カルテ8
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「あの、すみません。ありがとうございます!」

 エアカーが走り出すと、申し訳なさそうなメディカの声が聞こえた。

「いえ。さっきの交差点で見かけたので……。買い物されてたんですね」

 前を向いたまま、話すトランクスに

「はい……。あ、燃えたからじゃないですよ」

 冗談ぽく言うその言葉に、トランクスはビクッとした。あの朝の失言を彼女は忘れていなかったらしい。

「フフ。すみません」

 メディカは小さく笑うと

「部屋を出て行かないといけなくなったので、この機会に着ない服とか処分することにしたんです。そしたら、思いの外減ってしまって……」

 と、続けた。

「あ……そうなんですか。あの、本当に災難でしたね……。火事とか急に退居とか……」

 トランクスは言葉を選ぶ様に言うと

「おかげで久しぶりに買い物が出来ましたけど」

 と、チラリと見たその表情は声同様に明るく、トランクスは少し安堵するのだった。

 前方の信号が赤に変わり、ゆっくりとスピードを落としていく。それと同時に

「あの……。すみません。そちらでお世話になることになってしまって。本当にご迷惑じゃないんでしょうか?」

 不安気に尋ねる声と表情がトランクスに向けられた。

 それに気付き、トランクスはメディカを見ると

「大丈夫ですよ。母も妹も、先生と過ごす事が出来ると喜んでますから。父は嫌ならハッキリ言う人ですし、気にしないで下さい」

 メディカの不安を取り除く様に、明るい口調で答えるのだった。
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