コイノヤマイ

□カルテ14
3ページ/6ページ

「お姉ちゃんは悪くないわ。もう! お兄ちゃんしっかりしてよね!」

 ブラが睨みながら言うと

「さ、お姉ちゃん行きましょ! パパがお腹空かせて待ってると思うの。機嫌が悪くなるから先に入って夜ゴハンにしましょ!」

 と、メディカの腕をとり、強引に玄関へと引っ張った。

「あ、でも……!」

 メディカはトランクスを振り返るが

「お兄ちゃん! ブラの買った物、部屋まで運んでおいてねー!」

 と言うブラに腕を引かれ、そのまま家の中へと連れて行かれるのだった。

 積まれた箱や紙袋たちに囲まれ、トランクスはその場に1人、取り残されるのだった。




 ブラの荷物を部屋に運び込むと

「ふぅ……」

 と、息を吐いた。

(たかだか、手が触れただけじゃないか……)

 しかし、その「たかだか」の事で幸せな気持ちになっている自分がいることは確かで、トランクスは一人頬を染めるのだった。

 そんな温かい気持ちのまま、ブラの部屋を出てリビングへと向かっていると、前からブラが歩いて来るのが見えた。

「お兄ちゃん、ありがとー!」

 満面の笑みの妹に

「食事は済んだのか?」

 と、尋ねると

「食事より、今日買ったモノをパパに見てもらおうと思って!」

 そう答えたブラは、トランクスの横を通り過ぎざまに

「ね。一緒に行ってよかったでしょ。感謝してよね!」

 と、ニンマリとした顔を兄へと向けるのだった。

 その笑みにトランクスはギクリとすると、足取りも軽やかに去っていく妹の後ろ姿を、固まったまま見つめるのだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ