コイノヤマイ

□カルテ14
5ページ/6ページ

 楽しかった1日が終わり、メディカはベッドの中で少し見慣れてきた天井を見つめていた。

 そして

「あんなこと言って、失礼だったかなぁ……」

 と呟いた。

(家族を大切にされてるところが、私は素敵だと思います)

 自分のこの発言からトランクスの様子が変わった気がした。

 目が合うとバツの悪そうな顔で逸らされ、近付くと落ち着きがなくなるトランクスを思い出して、メディカは自分の発言に後悔していた。

(どこが素敵なんでしょう……)

 と問われ、短い間だがトランクスを見てきて自分なりに素直に思ったことを答えたのだが、24歳の男性に言うべきことじゃなかったのかもしれない。

(でも、本当にそう思ったんだし……)

 自己弁護しつつゴロリと寝返りを打つと、昼間のことを思い出した。

 すれ違う女の子達がヒソヒソと「あの人、カッコイイ!」や「見て見て、超イケメン!」等言いながら、横を通り過ぎて行くことに全く気付いてなかったトランクス。

(あれだけの視線を浴びてるのに、気付かない方がオカシイよね……)

 思い出しながら、メディカはクスクスと笑った。

 そして

(あ、いつものことだから慣れてるのかも……)

 とも思い

「あ、もしかして天然?」

 口に出して言うと、トランクスのあの容姿とのギャップを感じて可笑しくなり、また1人でクスクスと笑ってしまう。

(でも、私が言ってからも、あんまりピンときてない感じだったよね……。んー……自分がカッコイイって自覚がないのかな……?)

 とも思うのだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ