コイノヤマイ

□カルテ14
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 スーツ姿に眼鏡を掛けたトランクスも凛々しく大人びていて恰好良いが、普段の年相応のファッションに身を包んだトランクスもやはり恰好良い。

 今日も袖口に小さくCCのロゴの入った黒のTシャツに、カーキ―色のズボンという、いたってシンプルな恰好だったのだが、もとが良いので特にオシャレをしていなくてもオシャレに見えてしまう。

 全く美形というのは羨ましい限りだ。

 そう思うと溜息が出た。

(トランクスさんて、持ってないものないよね……)

 彼に何物も与えてしまった神様は不公平だと思った。

 トランクス本人もそうだが、彼を取り巻く家族や環境等も含め、恵まれているとしか言いようがない。

 厳しそうだが、家族を静かに見守っている父。

 美人で頭も良く、少々……いや、かなり強引だが、明るく人柄もいい母に、その母親に似て美人で強引で、人懐っこくマセた妹。

(選ばれた人って、ああいう人なんだな)

 と思うと、再び溜息が出た。

 目を閉じ、そんな恵まれた人がどんな女性を好きになるのだろうかと思い始めた。

 眉目秀麗、優しくて知的で世界有数の企業のトップであるトランクスに釣り合う女性とはどんな人だろうか?

「トランクスさんの好みのタイプって、どんな人なのかな……?」

 呟いてから

(これだけ恵まれてると、相手に何を求めるんだろ?ブルマさんみたいな最高の女性が近くにいるし、相手探しは難しいかもね……)

 そう苦笑いを浮かべると

「なかなかガールフレンドが出来ないのは、ブルマさんのせいかも……」

 と独り言ち、苦笑いを深めるのだった。
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