コイノヤマイ

□それぞれの日常@
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玄関に出ると迎えのエアカーは既に到着しており

「おはようございます。」

「おはよう。」

と運転手と短い挨拶を交わし後部座席に乗り込むと、エアカーはカプセルコーポレーション本社へと向けて走りだした。

流れる西の都の景色を眺めながら、気持ちを仕事モードへと切り替えていく。
そして本社に着く頃には、凛々しい若社長の表情へと変わっていた。

そんな、世界的大企業であるカプセルコーポレーションの若く恰好いい社長は、社内のみならず取引先の企業でも大人気で、特に女性からの人気は凄まじく、これにトランクスは辟易していた。

今朝も役員たちに迎えられ、社長室へ向かう途中で、女性社員たちの

「見て!トランクス社長よ!!今日も素敵ねー。」

「社長って、いつも恰好いいわよねー。」

という、黄色い声が聞こえてくる。

社長になったばかりの頃は、嬉しさと気恥ずかしさで顔を赤らめながら社長室に向かったものだが、2年も経つといい加減うんざりしてしまう。

エレベーターに乗り、女性社員たちの声が聞こえなくなると、心の中で大きく溜息を吐いた。

そして最上階の社長室まで続く役員たちからの報告やおべっか・・・。

一方的な彼等の話しを聞くのが朝の儀式の様になっており、これもトランクスの気持ちを萎えさせるには十分だった。

社長室に入り椅子に座るなり、秘書から1日のスケジュールを言い渡される。

毎日同じことの繰り返しで、トランクスはこの単調で退屈な日々が憂鬱でしかなくなっていた。

そう、つい先日までは・・・。
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