コイノヤマイ
□カルテ16
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(―――しまった―――。バレた・・・!まさか見られてたなんて・・・。)
トランクスは思いっ切り苦い表情を浮かべながら歩いていた。
これまで、母から茶化されるのを避けるため、恋愛に関しては秘密裏に動いてきたというのに・・・。
やはり1つ屋根の下に住んでいるという状況で、この感情を隠し通すのは難しかったのだろうか・・・。
(・・・時間の問題だったかもしれないけど・・・それにしても早すぎるだろ・・・。)
勘の鋭い母のことだ。隠し通せるとは思わなかったが、あまりにも早すぎる。
トランクスは、先程のあまりにも正直な反応を見せてしまった自分を後悔した。
思いもよらぬメディカの行動が原因なのだが、彼女を恨むわけにもいかない。
彼女は何の気もなく、ただネクタイを直してくれただけなのだから。
それはそれで、寂しさを感じつつ、トランクスは今朝はやけに長く感じる廊下を、肩をガクリと落とし進んでいた。
家を出る前から、思いもよらぬ疲労感に襲われ、フラフラと顔を歪め歩いていると、トレーニングを終えたばかりであろうべジータが前から歩いて来るのが見えた。
すれ違い様に
「父さん、おはよう。・・・行って来ます。」
力ない笑顔を向けると
「おい、トランクス。」
と、呼び止められ「はい!」と振り返ると
「ここ最近、気が乱れ過ぎているぞ。」
顔を見ることなく、背を向けたまま言う父の後ろ姿に、トランクスは嫌な汗が滲んでくるのを感じ、顔を引き攣らせるのだった。