恋に唄えば2

□第三の男
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 はじめは罪を償うために始めた仕事だったが、いまは仲間にも恵まれ、この仕事にやり甲斐を感じていた。

 定められた歴史を守る――。

 地球が平和になった今。それが、俺に新たに課せられた使命だと思うようになっていた。

「ああ……これでもない……」

 俺は巻物を戻すと、また次の巻物を広げた。

 時の界王神様から「急いで微妙な歴史の改変」を調べて欲しいと言われたのは、二日前のことだ。

 その「微妙な改変」をなかなか見つけることが出来ず、俺は途方に暮れていた。

 何故なら、歴史を記した巻物の数は膨大で、その中から「微妙な改変」を見つけるには、相当な時間と気力が必要だったからだ。

 この二日間、俺は徹夜でこの作業に当たっているが、そろそろ気力が途切れ始め、さっきはついうっかり、居眠りをしてしまっていた……。

「ハァ……。これでもなさそうだ」

 また別の巻物の確認を終え、次の巻物に手を伸ばした時だった。

 微かに邪悪な気を感じた。

 それは、歴史の改変が起こっていることを知らせるもので、以前にも感じたことのある邪悪な気だった。

 俺はすぐさま、このことを時の界王神様に知らせると、パートナーと共に邪悪な気を発している歴史へと向かった。

 この邪悪な気……まさか……!

 否定しつつも、拭いきれない不安が俺の胸を支配し始めた。

 そしてそれはパートナーも同じらしく、珍しく険しい顔をしている。

 いや……そんな筈はない! 

 あいつ等は確かに死んだ筈だ……!

 俺はもう一度強く否定し、辿り着いた場所から邪悪な気を探った。
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