恋に唄えば2

□第三の男
3ページ/5ページ

 着いた先は、いままで訪れたことのない場所で、地球に似た惑星だった。

 空は広く青く、遠くには小高い山が連なり、目の前には森が広がっている。

 舞空術を使い空を進んで行くと、穏やかな青い海も見えてきた。

 その側には村があり、人々が平和に暮らしている姿が眼下に見える。

 ……まさか、これからこの平和が脅かされるのか……!?

 奥歯をギシリと噛み、俺たちは邪悪な気を感じる場所へ急いだ。

 


 邪悪な気を発している場所――。

 それは、その辺りでは一番高いだろう山の頂に建つ、石垣で囲まれた荘厳な城だった。

 だが、その城はところどころ朽ちていて、上空から見た限り、人の気配は感じられない。

 廃城か……?

 そこに降り立った俺とパートナーは、顔を見合わせると城の中へと進んだ。

 薄暗い建物の中。

 差し込んでくる外の光は、朽ちた壁や天井からもたらされている。

 その朽ちた部分は、もともと戦闘によって破壊されたものらしく、何者かによって爆破された痕跡があった。

 さらに進み、中庭に出ると、そこで見た光景に俺たちは思わず息を呑んだ。

「これは?!」

 そこには、今にも動き出しそうな多くの石像が並んでいた。

 まるで生きているようなその石像は、驚いた顔、苦しそうな顔、恐怖に怯えた顔をしている。

「ここは、一体……」

 ただの廃城じゃない……!

 そう思った俺たちは、更に先へ進むと、破壊された大きなドアの前に辿り着いた。

 どうやら、この城の主と謁見する間のようだが、そこにも中庭と同様数体の石像が並んでいた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ