コイノヤマイ・短編

□彼女のお願いC
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『逢いたいです……』

 ぽつりと漏れた彼女の言葉に

「すぐ行くよ!」

 トランクスはそう言って電話を切ると、エアカーを停車させ、夜空へと飛んだ。

 取引先との会食を終え、エアカーで自宅へと帰る途中だったが、メディカからこんなことを言われては、すぐに飛んで行くしかない。

 付き合い始めて、もうすぐ2ヵ月……。

 平日の夜に彼女から電話が掛かってきたのは初めてだったし、あんな寂しそうな声で「逢いたい」など言われたら、行くという選択肢しかないじゃないか。

 そんなことを思いながら、トランクスはメディカの職場である西の都の病院へと向かった。

 病院の真上に着くと、すぐに屋上に立つ白衣姿の彼女を見つけ

「メディカさん!」

 と呼んで降下した。

 足が地面に着いたところで、メディカはすぐにトランクスの胸に飛び込んできた。

「おっと!」と、バランスを崩しそうになりながらも、メディカを抱き止めると

「逢いたかった……!」

 そう言って背中に回した腕に力を込めるメディカに、トランクスは優しい笑みを零した。

「俺も逢いたかったよ。」

 腕の中の彼女にそう囁くと、メディカはトランクスの背中に回した腕に更に力を込めた。

 穏やかな月夜の下、自分を求めるメディカの可愛い姿を抱きしめながら

 ああ、今日一日の疲れが癒される……。

 と思っていると、顔を上げたメディカの、ねだる様な黒く潤んだ瞳と視線がぶつかりドキリとした。

 その表情は反則だ。

 と思いながら、トランクスは小さく微笑むと、メディカの唇を優しく塞いだ。

 唇を重ねては離し、離しては重ねる―。
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