恋に唄えば

□普通じゃない出会い
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 目の前に広がるのは果てしない砂漠だった。

 そう。砂漠……。

 ……。

「……って、砂漠?!」

 いやいや! 待って!!

 今、学校から帰ってる途中だったよね?!

 もう17年住んでるけど、この町に砂漠なんてあった!?

 ……。

 ……。

 ……!

 分かった! これ夢だ。

 マコちゃんとしゃべってるうちに寝ちゃったんだ、私。

 そうだ、間違いない!

 昨日、寝るの遅かったから……。

 ……それにしても、何だろ……。凄くリアル……。

 この乾いた風の感じとか、足元の砂漠の砂の感触とか。

 夢にしてはあまりにもリアル過ぎる風景に立ち尽くしていると、何処からか微かな呻き声が聞こえた。

 誰かいる?!

 夢の中とはいえ、こんな砂漠にたった一人はイヤだ。

 そう思った私は、その呻き声が聞こえる方へ何の躊躇いもなく進み始めた。

 だって夢だし、怖がる必要なんてないって思った。

 どうせ夢なんだから、何かあってもいつか覚めるんだし!

 そんなことを思いながら、小高い砂の丘を慎重に下りていると、ローファーの中にどんどん砂が入ってきて、その感触もやっぱりリアルだった……。

 靴の中に砂が入った、ザラザラした感触を気にしつつも進んで行くうちに、これがだんだん夢なのか現実なのか分からなくなってきて、さすがに不安になってきた。

 でも、呻き声をあげていたのが、砂の上に座り込んでいる幼馴染だと分かった途端、その不安は消え

「マコちゃん!!」

 と、私は親友の名前を呼ぶと、走り出していた。
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