恋に唄えば

□未来世紀「地球」@
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 目が覚めると、そこはいつもの見慣れた部屋だった。

 ……ってのを期待したけど、やっぱりそこは見慣れない天井の広々とした部屋で

「ハァァ……。やっぱり夢じゃないのか……」

 寝転んだまま落胆の溜息を吐いて、また目を閉じた。

 しばらくまどろんでたけど、仕方なく起き上がってベッドから出る。

 窓の隙間から差し込む陽の光だけがいつもの朝と変わらず 

「……太陽も月もあるし、やっぱり違う地球なんて嘘だろ」

 呟いてカーテンを開けたけど、目の前に広がるのは、映画の中の未来都市みたいな景色だった。

「……映画のセットだといいのに……」

 馬鹿みたいなことを言ってるなと自分でも思ったが、これが本心で願望だった。

「どっきりでしたー」って、何処の誰かも知らない奴が出て来てくれないか……。

 そんなことを思いながら、ハンガーラックに掛かった破れて血が滲んだ制服を見つめ

 いや。やっぱり、これは現実か――。

 そう思うと、また深く溜息を吐いて、この客室内にある洗面所へと足を向けた。



 昨日、庭でお茶を飲んだ後、この家を案内してもらった。

 そしたらこの家は、ハリウッドのセレブもアラブの石油王も敵わないだろっていうくらいの、とんでもない金持ちだった。

「世界一有名な会社」を経営してるとは聞いたが、その金持ちっぷりは想像を遥かに超えていた。

 だって、家に遊園地と水族館があるってオカシイだろ?!

 それに、屋内にある庭にはペットだという恐竜までいた。

 これには、さすがの梨子も絶句していた。
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