一軒

□強くねーよ
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「ハイハーイ!
みんなちゅうもーく!学級委員の後田優希(ウシロダ ユウキ)にちゅうもーく!!」




この化学の時間、というか自習時間、机の上に飛び乗り、拳を天井に掲げたこのバカ。クラスのチャラいムードメーカー、自称ウッシー。



まあこの自習時間を狙ったのは、担任が出張で百パーセント自習監督がつかないからだろう。



「どーしたのよウッシー。」



クラスメートの一人が、この自称ウッシーに問いかけた。


…ウッシーというあだ名は案外通ってるらしい





「他でもなぁい!!
三学期はあっという間であるのは皆存じておるな。そこでだ!来年担任じゃなくなってしまうかもしれない天津先生に感謝の気持ちを込めてサプライズをしようと思う!!」





おおー、と、低い地鳴りのような歓声がクラスに響き渡った。ここは理系クラスであり、男子クラスとなってしまったからだ。




「そこでだ!桜木健斗寝るな、そして前原涼太(マエハラ リョウタ)つまらなさそうにするなァ!!」



「していない。」



八重歯を出して怒鳴るこいつはまさに犬。



ちなみに桜木健斗はまだ起きていない。







「でさーウッシー。
サプライズって何すんのー?」



「それをこの時間使って今から考える!」



「なるほー。」



「何かある人いるかー?ある奴は挙手!」




後田がそう言ったにも関わらず誰一人挙手はしない。




「花束ー。」


「顔シュー。」


「色紙書けばいいんじゃね?」


「スライドショーとかアルバムとか。」







挙手しろと言われたにも関わらず挙手をせずに飛び交うなかなかマトモなアイディア。俺はそういったことを考えるのはあまり得意ではない。













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