一軒
□やめてよ
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ドンッッ!!!
「持ってる金全部よこせやァ!!!」
「え、あ、あの…!」
「あ"ァ!?なんだと!?」
「すみませんすみません…!これで勘弁してください、お願いします…っ!」
何故か路地裏に引きずり込まれ、カツアゲに遭った僕は、今日入ったばかりのお小遣いを全て差し出した。
「チッ…これっぽっちかよ。」
「う"っ……。」
顔を蹴られ、その場にうずくまってしまったが、カツアゲ達はいってくれたようだ。
「いったいなぁ…。」
ほっぺの骨折れてないよねこれ。
あーもう、泣きそう。超怖かった。
人生初のカツアゲでした。
「あれ…?」
あそこから僕を見てるの、確か同じクラスの金髪問題児…名前は確か…。
「荒嶽怜也(アラタケ レイヤ)…?」
「…。」
わ、やっば、こっち向いた!
逃げなきゃ…逃げなきゃ…!
「は、はは…。」
引きつった笑みを浮かべる僕。
…腰が抜けて動けない。
やばいよー、どーしよどーしよ。
そうこうしてる間にもヤツはこちらに近づいてくる。逃げ道があるというのに逃げ足がないというこの絶望的状況。僕にはもう明日は来ないのでしょうか…!
目の前に手が伸びてきた瞬間、僕は力強く目を瞑った。
「…立てるか。」
「え…?」
僕はゆっくりと目を開いた。
「……立てないのか…?」
囁くようなバリトンボイスで、僕のことを心配するヤツ。これは夢だろうか、18年間生きてきて、不良に心配される日が来るなんて。
「えと…大丈夫、です…?」
「…でも立てないのか。」
「はい…すみません…。」
「…謝ることなんてない……。
立てるようになるまで…隣にいてやる……。」
…え。
ちょっと怖くてかなりビビってるけど…敵意は感じられないから、少し安心できる。
「ありがと…ございます…。」
「…敬語なし。」
さようでございますかー…。
†