一軒

□やめてよ
1ページ/9ページ









ドンッッ!!!





「持ってる金全部よこせやァ!!!」


「え、あ、あの…!」


「あ"ァ!?なんだと!?」


「すみませんすみません…!これで勘弁してください、お願いします…っ!」



何故か路地裏に引きずり込まれ、カツアゲに遭った僕は、今日入ったばかりのお小遣いを全て差し出した。



「チッ…これっぽっちかよ。」


「う"っ……。」



顔を蹴られ、その場にうずくまってしまったが、カツアゲ達はいってくれたようだ。




「いったいなぁ…。」


ほっぺの骨折れてないよねこれ。
あーもう、泣きそう。超怖かった。

人生初のカツアゲでした。








「あれ…?」



あそこから僕を見てるの、確か同じクラスの金髪問題児…名前は確か…。



「荒嶽怜也(アラタケ レイヤ)…?」



「…。」



わ、やっば、こっち向いた!



逃げなきゃ…逃げなきゃ…!







「は、はは…。」



引きつった笑みを浮かべる僕。





…腰が抜けて動けない。



やばいよー、どーしよどーしよ。


そうこうしてる間にもヤツはこちらに近づいてくる。逃げ道があるというのに逃げ足がないというこの絶望的状況。僕にはもう明日は来ないのでしょうか…!



目の前に手が伸びてきた瞬間、僕は力強く目を瞑った。




















「…立てるか。」














「え…?」





僕はゆっくりと目を開いた。






「……立てないのか…?」








囁くようなバリトンボイスで、僕のことを心配するヤツ。これは夢だろうか、18年間生きてきて、不良に心配される日が来るなんて。




「えと…大丈夫、です…?」




「…でも立てないのか。」




「はい…すみません…。」



「…謝ることなんてない……。
立てるようになるまで…隣にいてやる……。」








…え。





ちょっと怖くてかなりビビってるけど…敵意は感じられないから、少し安心できる。






「ありがと…ございます…。」




「…敬語なし。」










さようでございますかー…。











次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ