一軒

□もう無理!!
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「…本当に笑顔振りまくの好きね。」





「見られていましたか。
先生に見てもらえるなら本望ですが。」










あくまで、仕事中はお互い先生と呼ぶ。












アタシは、泰葉君と付き合ってる。
後輩なんだけどね。泰葉君の猛烈アタックに、その気になっちゃったっていうか…。













「奏多さん…、次の時間は空いていますか?」







「空いてるも何も、それは泰葉君でしょ?」






「俺は空いてますよ。」





くるくるの髪の毛の影になって、暗くなっている目元。偽物じゃない笑顔。







本当、綺麗なのよね。












「生憎保健室は常時営業中だから。鍵なんて閉めないわよ。」









そう言ってアタシは、
泰葉君のベルトに手をかけた。














「何言ってるんです?奏多さんはされる側でしょう。俺の上に乗っかろうだなんて考えていませんよね?」









「はっ…?ちょ、泰葉君…!?」












デスクに置いてあった、保冷剤固定用の使用済み包帯。それで片手首をベッドの柵に固定されてしまった。











「ね…っ、何するつもり…?
ハサミないと切れないんだけど…!?」










…ってか若干トイレ行きたい、ピンチ。普通に咥えて一発抜いて終わり、とか思ってたのに。












「奏多さん…。」







「泰葉君…っ…?」








泰葉君はアタシの背後にピッタリとくっつき、ズボンを脱がし始めた。















「今日は黒ですか。…かっこいいですね。」









「男なんて大概地味な色よ!」







「あれ?心は乙女ではないのですが?」





「見た目が男なんだから仕方ないじゃない!学校で?この見た目で?変な格好できないわよ。」






「……すみません、奏多さん。」





「何よ。」






「…今日何曜日でしたっけ?」








「金曜…だけど…。…ちょっとまさか、」














「はい、時間割を勘違いしていたようです。3時間目になるまで待っていてくださいね。失礼します。」







「ちょっと!腕!ねぇ!…っもう…!」
















ハサミはデスクの上のペン立てにあり、届かない。包帯だから、無駄にピッタリと固定されてる。……そしてズボンは脱がされたまま。









「……一時間くらい我慢できるけど…。」












そしてトイレに行きたい。






















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