48グループ
□私だけが知ってる
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茉夏side
「おはようございます…あ」
「…」
発見。私の可愛い可愛い恋人。
イヤホンをして、自分の世界に入り込んでる。
私が楽屋に入ってきたこと、絶対気づいてないよね。
どうしよう、驚かせちゃおうかな。
「…」
そーっと、そーっと。
彼女の後ろに回り込んで、慎重に腕を伸ばす。
…今だ!
「わっ!!!!」
「きゃっ!?」
なんとも可愛い声を上げて肩をびくつかせた彼女。
警戒するように私の方を振り向いた。
「…ま、まなつ…」
「ふふ、おはよう。玲奈ちゃん♪」
「ん…おは、よ」
『玲奈ちゃん』
私の可愛い可愛い彼女の名前。
私よりも年上でグループでも先輩だ。
「玲奈ちゃん来るの早いよね」
「…うん…早く来るの好きだから…」
「どうして?」
「…みんなに…おはようって言えるじゃん…?」
「ふふ、そっかぁ♪」
「な、なんで笑ってるの…」
玲奈ちゃんのこういうとこほんと好きだなぁって。
本人に言ったら絶対照れちゃうだろうから言わないけどね。
「あ、あと、まなつ…」
「ん?」
「近く…ない?」
「近くないよ。むしろ遠い」
「いや、近い。断じて遠くない」
そう言って玲奈ちゃんは少し私から離れてソファーの端の方に行ってしまった。
むぅ。
寂しいじゃん。
「れーなちゃん」
「なぁに…」
「さみしいなぁ」
「うう…」
「そっち行っちゃダメ?」
「…だめ」
「どぉしてさー」
「……ドキドキ、しちゃうから」
「ごめん玲奈ちゃん」
「へ?…ふわぁっ///」
玲奈ちゃんの腕をぐいっと引いて力いっぱい抱きしめる。
鼻腔に彼女の甘い香りが広がって何だか頭がクラクラしてきた。
「玲奈ちゃん…もう、好きすぎる」
「まなつ…だめ、だから…っ//」
ぎゅーって抱きしめすぎて腕の中の玲奈ちゃんがバシバシ背中を叩いてきた。
「ふふっ…玲奈ちゃん顔真っ赤」
「うるっさい…!」
「可愛すぎ」
向きを変えて彼女を膝に乗せる。
最初は離せだの降ろせだの暴れてたけど、しばらくすると大人しくなった。
「玲奈ちゃんってさ」
「…なぁに」
「みんなでいる時とかテレビの時は私のこと熱く語るのに、2人っきりだととことんヘタレだよね」
「うっ…」
「まぁ、そんな玲奈ちゃんも大好きだけど」
「…まなつは…」
「ん?」
「2人っきりだとチャラいし積極的すぎる…」
「だって玲奈ちゃんが好きなんだもん」
「こっちの心臓事情も考えてよぉ…」
そう言ってる玲奈ちゃんの横顔は、赤く染まっていて少し唇を尖らせていた。
この顔。
不服だけど何だかうれしいって顔。
私が好きな顔。
「ねえ、玲奈ちゃん」
「ん?」
「まだみんな来ないと思うんだ」
「…?うん」
グイッ
「っ!!!えと…まな、つ?」
「…前、3大欲求を大久保さんに振られたでしょ?」
「うん…」
「そのとき私は、睡眠欲、食欲、性欲って答えたんだけどね」
「せ、っ…//」
「今は」
「きゃっ…//」
「…性欲が1番かな」ボソッ
「ま、まなっ…ん…っ…」
「んっ…」
私だけしか知らない、
ツンデレで恥ずかしがりな彼女。
私だけしか知らないという優越感。
これからもずっと
その可愛い君を、
「玲奈ちゃん、大好き」
私だけに見せてね。
終わり