LinQ

□姉妹
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こころside


なんなん、さくらは。


Twitterで「ここちゃんが台湾でおらんけん。少〜しだけ寂しいね」なんて言っとったくせに、朝香さんにこころのことあげるって。


もうええもん。こころやって、さくらのこといらん。


むーっとしながら歩いてたら、いつの間にか家に着いてた。



もうさくら寝てるやろな。




「ただいま…」




家、シーンってしとる。


ママもパパも今日はお仕事なのは知っとる。さくら、やっぱ寝ちゃってるんだ…。


ちょっとでも起きとるかなって期待してたこころがバカみたいじゃん。




靴を脱いで、リビングへ向かう。



確か冷凍庫にアイスが残ってた気ぃする…さくらが食べてなかったらあるはず。



そんなことを考えながらリビングのドアを少し開けると、何故か明るい室内。





「さくら消し忘れたんかな…って、えっ…」




「……すぅ…」



ダイニングテーブルに突っ伏してるさくら。



なんで?なんでこんなところで寝よるん?



「さくら……。っ、?」



風邪引くけん、起こそうとさくらの肩に手をかけると、突っ伏してるさくらの腕の下にコピー用紙が。


そーっと引き抜くと、こんなことが書いとった。



『ここちゃんおかえり。台湾おつかれさま。さくら先寝とったらごめ』





「…っ」






「『んね』が足りんよ…さくらのアホ…」





書いてる途中で寝ちゃったんだろう。





「っ、ん…ふえ…」




意味わからん。意味わからん。


なんで涙出よるん?


そうだ、さくらがアホやから、バカやから、涙止まらないんだ。



「ぐずっ…うえっ…さくらぁ、さくらのばかっ…ふええ…」




「ん……んっ…?」



「さくらのっ、ば、…ひっく…」



「……ここちゃん…?」



「…んっ…さく、ら…」



「どげんしたと…?泣いとるん…?」



さくらは目をこすりながら片手でこころの頭を撫でた。


髪の毛を透くように優しく撫でてくれるその手は、驚くくらい落ち着く。



「ここちゃん…しんどい?」



「……しんどくない」



「じゃあ…泣いとったんは」



「さくらがアホやから…っ」




「なんでさくらアホなんよ…」




「…さくらが…こころのこと朝香さんにあげるなんて言うからや…」



「…!…ここちゃん」



「寂しいって言うたのさくらやん…それでいらんって…どっちなの…」


自分でもわかる。


今のこころの顔、すっごい拗ねてる。



「…ここちゃん?」



「……」



「…ほら、おいで?ここちゃん」



ポンポンと膝を叩くさくら。



ゆっくりさくらの方に視線を向けると、めっちゃ優しい顔。


お姉ちゃんの顔や。



「…さくら、バカ、嫌い」



「うんうん」



口では可愛くない言葉ばっか出てきよるのに、身体は自然にさくらの方に動いて。



気づいたら膝の上に座って、しっかりと姉の腕の中におさまっていた。



「…っ、くっ…うえっ…」


「ごめんね?ここちゃん…気にしとったん…?」



「…やけん、さくらはこころのお姉ちゃんやって。違うん…?」



「うん、そうたいね…さくらは、ここちゃんのお姉ちゃんや」



「こころ、めんどくさいかもしれんけど、なんか…あげるって言われるん、嫌やったの…!」



「ごめん…。でも、…さくらやって、ここちゃんおらんと寂しか…」



「ぐずっ…ほんとなん…?」



「うん」



「んっ…ごめん…」



ぎゅってさくらの背中に腕を回すと、負けんくらい強く抱きしめてくれる。



傍からみたらすごいシスコンやな。



でも、さくら大好きなんやもん。


ステージの上とか、一緒にテレビでてるときは恥ずかしくて素直になれんけど。




「ここちゃん、もう遅いしお風呂入って寝り」



「…一緒に寝る…」



「ん、わかった。じゃあ早くお風呂入ろ?」



「ん…さくら、抱っこ」



「あほ」



こつんって頭叩いて、膝の上からおろされる。


先に浴室に向かうさくらの背中に何だかイタズラしたくなって、




「えいっ!」



「ちょっ、ここちゃん!」



飛び乗ったった。



「はい、そのままお風呂ー」



「なっ…もう、暴れんといてよ?」



「はーい」



おんぶなんていつぶりかな。


なんか嬉しい。



「ねえねえ、さくら?」



「?」



「…めっちゃ好いとーよ!」



「!?//」



「ふふっ」



「さくらも、好いとー、よ…//」



今日は存分にお姉ちゃんに甘えよう。



終わり
 

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