赤井夢

□神に裁かれた二人
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出店を一軒ずつ見て回り、軽食で食事を済ませ出店の店員から短冊をもらい、二人は大通りの広場に飾られている笹に短冊を結びに向かった


「赤井さん、短冊に何て書いたんですか?」
「それは、秘密だ」


蓮子の手の届かない位置に短冊を結び、赤井はニヤリと笑みを浮かべた


「・・・意地悪」
「そういうお前は何て書いたんだ?」


素早く反対側に行き、赤井に見つからないように蓮子は低い位置に短冊を結んだ


「ダ・・ダメですよ、教えませんから」


素早い蓮子の身のこなしに、赤井がクスクスと笑っているため蓮子は下駄を片方脱ぎ、投げつけようと上に掲げた


「笑わないで下さい!・・・イタタ」


片足を持ちピョンピョン跳び跳ねている蓮子を赤井は、首を傾げて見つめた


「・・どうした?」
「さっきから足が痛いと思ったら・・鼻緒に当たる所が擦れちゃったみたいです」


ベンチに腰掛ける蓮子の隣に座り、赤井は自身の膝の上に彼女の足を乗せ足の指の間を確認した


「これは痛そうだな・・歩けそうにないか?」
「大丈夫です、絆創膏を貼れば何とか・・」


可愛らしい巾着袋の口を開け、蓮子は絆創膏を取り出し赤井に手渡した
鼻緒が当たる部分に絆創膏を貼り、赤井は蓮子の足を高く持ち上げ貼り具合を改めて見ていた


「これで良し・・・痛かったらすぐに言えよ?」
「は・・はい」
「・・ほーーぅ、本当に下着を着けてきてないようだな」


片足を持ち上げる赤井の目線が浴衣の中を覗き、蓮子は瞬時に足を閉じた


「あ・・赤井さんってエッチですね!」
「開き直るつもりはないが・・・男は皆そうだと思うぞ?」


ニマニマと笑っている赤井から離れて座り、蓮子は膝の上に手を置き俯いた


「男性が皆そうだとは限りませんよ・・・」
「お前が男を知らなすぎるだけさ・・」


距離を置こうとしている蓮子の肩を抱き寄せ、赤井は彼女の耳元で囁いた


「下着を着けていないってことは・・その気があるのか?」


耳元で彼の吐息を感じ、蓮子は体を硬くさせ唇をギュッと噛みしめた


「ゆ・・浴衣は下着を着けないモノです」
「そろそろ花火が始まる頃だな、高い場所の方が良く見えると思うのだが・・・移動しないか?」


赤井がチラッと目線を送った先はピンク色のネオンが妖しく光るホテル街で、カップル達が手を繋いで高くそびえ建つ建物の中へと入って行った
蓮子は突然、恐くなり首をフルフルと横に振った


「ご・・ごめんなさい、私・・やっぱり」
「・・嫌なのか?」

肩を抱き寄せながら、赤井は微かに震えている蓮子に顔を近づけ再度、確認するように尋ねた


「や・・やっぱり、こういうのは結婚するまで待つべきだと私は思います!べ・・別に赤井さんと結婚できるとは思っていませんけど、た・・例えば新婚初夜とかで」


蓮子の言葉を最後まで聞き、赤井は天を仰いで声に出して笑い始めた
高らかに笑っている赤井の方を振り返り、蓮子は襟元を掴みガクガクと揺さぶった


「ど・・どうして笑うんですか!?」
「いや・・お前は本当に、古き良き日本人だな〜〜って思ってな」
「笑わないで下さいよ!もし・・こんな私では嫌だと仰るなら、どうぞ他の女性と楽しんで下さい」


ぷいっとそっぽを向き背中を向ける蓮子を赤井はしばらく笑い続けていたが、ふいに真顔に戻り蓮子の体をひょいと抱き抱えた


「ひゃっ・・!?あ・・赤井さん!何するんですかぁ」
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