恋の乱LB
□愛の言の葉(主人公目線)
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瑞々しい若葉を付けた新緑の枝を微風が揺らす。
昨晩まで降り続いていた長雨は夜更けには上がり、
風が吹く度、濡れたように青々とした新緑に残っている雫がぱらぱらと地面に落ちた。
梅雨の晴れ間の陽射しは、随分と輝きを増して強くなっている。
溢れる光に、気付かない間に夏がすぐそこまで近づいているようだと、
久々に雲無く晴れ渡った綺麗な青空に美弥は目を細めた。
「今日はよく洗濯物が乾きそう」
呟いた声は少し弾んでいる。
空に向けていた視線を、両手で抱えた洗い終えたばかりの洗濯物でいっぱいの籠へと落とす。
「お休みの日にこんなに晴れるなんて、運が良いなぁ」
ちょっとしたことだが、自然と頬が緩む。
美弥としては、けして雨が嫌いというわけではない。
雨で煙る中、楚々と咲く紫陽花の姿はしっとりとして美しいと思うし、
軒先から落ちる雫の音や屋根を叩く雨の音にも風情があって好ましいとも思っている。
だが、雨天が連日続くとなると、
どんよりとした曇天に少し気が滅入ってしまうのも事実だった。
前向きな性格のせいか、すっきりしない天気より、
やはりからりとした晴天の方が好ましいと感じる。
「さぁ、早く終わらせようっ」
手にした洗濯物入りの重たい籠を足元へ下ろしてから
腕まくりをして気合を入れた美弥は、快晴の下、洗濯物を干し始めた。