カラ松dream

□初めての呼び出し
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そこそこ仕事にも慣れて、何度目かの休日。
休日は特にやることも無いし、暇をもてあましていた。
そこで俺の携帯が鳴る。
ほとんど鳴ることもない携帯が鳴るとは珍しいと思い、表示を見ると店からの電話。
何かしたのだろうか?と思い電話に出た。

『松野くん?今日何か予定ある?』
「いえ…無いです」

電話は彼女からだった。
俺の予定を聞くとは、まさかデートの呼び出し?

『これから店に来れないかな?急に一人休んじゃって…』
「すぐ行きます」
『あ…ゆっくりでも大丈夫だよ』
「いえ…すぐ…行けます」
『じゃあ、お願い。店で待ってるね?』

俺を待っててくれるとは…罪な人だな。
急いで用意をして店に行く。

逢えないと思っていた休日に彼女に逢えるのなら、この身がどうなろうとかまわない。

「早っ!もう来たの?まだゆっくりしてて良いよ」
「あ…そうなんですか」
「15時から入ってあげて…私も15時まで休憩しとくし」

今日の彼女はキッチンの服装だった。
普段はホールの服装なのに…。
キッチンの服装もなかなか似合ってる。

「ごめんね…休みなのに…」
「柊さんの為なら…」
「何それ…」

笑いながらいつものようにタバコを吸いだす。
いっそのことあのタバコになりたい。

「松野くんは彼女いる?」
「は?いや…居たこと無いです」
「そうなの?居てもおかしくないのに…」

それは俺に興味があると?

「柊さんは彼氏は?」
「男に興味が無いしねー、あ、だからって女が好きなわけじゃないからね?この人って思えた人が居ないの」
「そうなんですか…居ると思ってました」

男に興味が無い…それは俺にも興味が無いと言われているようだ。

「でも…素敵な人に逢えたら良いね。お互いに」
「そうですね」

俺の素敵な人は目の前の貴女ですって言えたら良いのに。

「さて、仕事しよっか?」
「はい」
「あ…そうだ。松野くん、終わったら用事ある?」
「いえ…無いです」
「飲みに行かない?今日飲みたい気分なんだよね」
「俺と…ですか?」
「松野くんに言ってるんだから、松野くんに決まってるじゃない。それとも二人きりは嫌?なら店長でも…」
「二人が良いです!」
「じゃあ終わったら行こうね?」
「はい!」

笑いながらそう言ってくれた。
早く仕事が終わらないかとそわそわしてしまう。
いつもより張り切って仕事ができたのは、この後の事が待ち遠しいからだろう。

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