おそ松dream

□好きだから
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双子って似てんのかな。
俺達六つ子も大人になって随分変わったけど。
どこかでアイツの彼女と重ねていたりしないだろうか?
違うって言い切れんの…俺。

あの日からちょくちょく会ったり電話したりしても、話題は兄弟の話。
面白くねぇよな。
俺は君のことが知りたいんだけど。

久しぶりに家に居る一松見た気がする。
最近ずっと彼女の家だったのに…。
彼女と妹が買い物に行くとかで、追い出されたんだってさ。

「おそ松兄さん…美夜の妹と付き合ってんの?」
「付き合ってねぇよ…」
「そう…なら会うの止めたら?もう僕のネタも尽きたんじゃ無い?」
「一松に関係ねぇじゃん」
「…関係…あるんだよ。美夜泣かさないで」

は?意味わかんねぇ。
俺が妹と付き合ってることと、お前の彼女が泣くことと何の関係あんの?

「付き合う気無いなら会う必要無いでしょ?妹も彼女と一緒で勘違いしてる」
「意味わかんねぇんだけど」
「言う気は無かったけど…妹…兄さんのこと好きみたい…最近よく家に来て話してる。僕にいろいろ聞いてくるし」

あからさまに溜め息を吐かれた。
え…ちょっと待って…妹が俺を好きみたいって言った?
俺の都合の良い空耳?

「兄さんがはっきりしないから美夜まで一緒になって泣くんだけど…どうしてくれんの?」
「ちょっ…ちょっと待てよ」
「何が?」
「マジで夏美ちゃんが俺のこと好きなの?」
「こんな下衆のどこが良いんだか…」
「答えになってねぇし!」
「……ここまで言ってわかんないの?バカなの?その前にちゃんと僕言ったよね。確認してどうすんの?マジでバカなの?一回死ね」

何故2回もバカと…。
しかも死ねって…。

「とにかく…はっきりさせなよ…僕が言ったことは言わないでよね。どうせ兄さんも好きなんでしょ」

さすが弟…よくわかってらっしゃる。

「あ…でも今日は買い物中だから…って美夜から電話だ…」

弟は携帯を取り出して電話しだした。
何てバカップル。
買い物中にも電話するのかよ。
つうか…マジか。
俺好かれるようなことは、してねぇはずなんだけど、すっげぇ嬉しい。
早く告白したい。
ニヤニヤする。

「え?今から?…うん…逢いたい…」

何このバカップルの会話。
逢いたいって毎日逢ってんじゃん…一松帰ってきたの昼前だし…そんなに時間経ってねぇじゃん。

「…そう。あー…でもなー…まぁ…大丈夫だけど」

一松の視線が俺に向く。
何だ?どうした?

「わかった…兄さんも連れて行くよ…うん。楽しみにしてる」

ちょっとちょっと!
どんな会話?お兄ちゃん楽しみにできないからね?!
電話を切ってポケットに直した一松が、俺の首根っこを掴む。

「おそ松兄さん…出掛けるよ」
「は?え?」
「さっさとしてよ…彼女に逢う時間減るじゃん」
「四六時中一緒に居るから良いじゃん」
「これだから童貞は…四六時中一緒に居たいから一分でも離れたく無いの…わかんないの?」
「いや…お前ら絶対特殊だからな?」
「うるさいなー…せっかくあの二人が夕食作って待ってるって言ってくれてんのに良いの?あっそ…じゃあ僕が夏美が作ってくれたご飯も食べてくる…せっかく兄さんにも来て欲しいって言ってくれてんのに…」
「すぐ行きます!」

作って待ってるって嬉しいじゃん。
一松は普段から彼女の手料理食ってるから、もしかして俺の為…なーんて都合良いか。

でもさ…俺まで呼んでくれるって…俺の為だって期待して良いよな?
逢いたい…逢って笑って欲しい。





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