銀魂イロイロ

□メランコリック症
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好き
なんで、このたった二言が言えないんだろう。あいつの前に立つと、いつも身体が動かなくて喧嘩ばかりしてしまう。アホみたいにあいつに見とれて、頭ん中じゃ何回抱いたことか。現実にしたいのに、あいつは逃げていくし、俺の気持ちも逃げていく。早く、あいつに伝えたい。



「んだてめぇ!やんのかコルァ?!」

「あぁ?いーですぜ、やっても。このクソアマァ。」

ヤクザもどきの喧嘩腰で神楽と言い合いをする、これが俺と神楽のいつもの距離だ。恋人どころか友達にもなれない。顔を付き合わせればいつも喧嘩。俺はずっとそれが楽しかったこともありわざと喧嘩をふっかけてきたが、最近はなにか違う気持ちが芽生えたことに気づいた。

きっかけは単純だったんだ。初見、初めて見た時、俺は不覚にも「かわいい」だなんて思ってしまった。一目惚れ、というやつをしていたのだと思う。

一週間前、姉上が亡くなった。時が少し経っていることもあり、心に余裕が少し出来たのだろう。その穴を埋めたのが神楽だった。姉上の葬式で馬鹿みたいにボロボロ泣いてた俺の隣であいつはずっと俺の手を握っていた。

その時、俺は悲しい気持ちでいっぱいだったが思い返せば神楽のおかげで立ち直れた、といっても過言ではない。

だから、早く気持ちを打ち明けたいのだが、どうも俺は不器用らしい。神楽の前に立つとどうしても憎まれ口ばかりたたいてしまうのだ。今日も一悶着終え、屯所に戻る。

「……はぁぁ……」

「まぁた、告白できなかったぁ…ってか?」

「………旦那かよ。」

知らぬうちに溜息をもらしていたようだ。まぁ、そんなことはどうでもいい。なんで旦那が知ってんだ。ほんとこの人の観察眼こえぇ。側から見りゃただの喧嘩だろ。

「なに?神楽ちゃんだったらよかった?」

「ハッ、馬鹿いわねぇでくだせぇよ。願い下げでさぁ、あんなクソ女。」

「嘘ついたら目、反らすクセ、お姉さんと同じだね。」

あぁ、だめだ、この人に嘘はつけない。いや、むしろこれはチャンスなのか?いやchanceなんだ。うぜーよ英語。じゃなくて…

「……どうしたい?」

「好きっていいてぇですよ。」

「いえばいいじゃん。」

できたら苦労しねぇつーの。旦那はニタニタ笑いながら俺の顔をのぞき込む。

「んですかィ?」

「いや、可愛いとこあるんだと思ってな。」

ちっ、旦那も人をおちょくるのが好きで困る。Sってのは打たれよえぇんだからもちっと繊細に扱ってくれよ。

「今までクソみてぇに喧嘩ばったりしてたんだ…いざなるとなんも言葉が出てこねぇでさぁ。」

「…まぁ、そうだろうね。でも、あいつはストレートに言わねぇとわかってくんないと思うぜ。」

「そんなこと……」

そんなことはわかってる。だから早く伝えてえ。それが出来ねえからわざわざ産毛みてぇに口のかっっるい旦那に相談してるんでぃ。
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