時を超えて

□三.星空
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三.星空

「ここが長野さんのお屋敷……広いですね」
屋敷の門の前でロアはあんぐりと口を開けている。
「それほどでもない」
左京亮は門をくぐり、敷地内に入る。ロアはまだ門前でポカンとしている。
「……入らんのか?」
振り返り、ロアに声を掛ければ彼女は慌てたような顔をして門をくぐる。
「お、お邪魔します。あれ……もしかして、ただいま? じゃないや、お世話になります!」
忙しなく様々な挨拶をしながらロアは頭を下げる。それを見て左京亮はクスクスと笑う。
「ただいま、でいい。ここはお前の家でもあるからな」
「は、はい」
左京亮の言葉にロアはコクコクと頷く。
「お前の部屋はここだ。好きに使うといい」
「ありがとうございます」
「悪いな。他の部屋と比べると少し狭いのだが……」
「充分です」
ロアはキャリーバッグを置き、部屋を見回す。都心のワンルームアパートと同じくらいの広さだが大きな窓があり、日当たりが良さそうだった。
「気に入ったか」
「はい」
ロアは笑顔で頷く。それにつられたのか、左京亮も笑みを零した。




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