時を超えて

□二.打ち解ける
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「まず、彼を紹介するわ」
大広間から少し離れた所で、尊は一緒に連れていた男をロアに紹介した。
「彼は長野左京亮。あなたの直属の上司になる人よ」
「直属の……よろしくお願い致します」
ロアは大きく瞬きをすると、頭を下げる。
「……あぁ」
左京亮は短く答えただけで、それ以上の反応はしてくれない。彼はそのままスタスタと先を歩いて行ってしまう。
「……もしかして、私嫌われてます?」
ロアは不安げな表情を浮かべ、首を傾げる。それを見て尊はクスクスと笑った。
「大丈夫よ、私の時もそうだったから。そのうち優しくしてくれるわよ」
「そうだといいです」
尊の笑顔に吊られ、ロアもニコリと微笑んだ。
「おい、早くしろ。置いていくぞ」
少し先を歩いていた左京亮が振り返り、ため息混じりに言う。
「……はいはい」
尊はクスクス笑うと、ロアの背中を押して歩くように催促する。ロアが一歩踏み出すのを確認し、尊は左京亮の後を追った。




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