時を超えて

□四.今日の予定は?
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「……あ、文献あった。
日置大膳亮、長野左京亮以下の諸侍、槍を提げ、太刀を振り、打ち出でて合戦に及び、各々高名を極む……随分と勇猛ですね」
「負けるわけにはいかなかったからな」
「そうですよね。
……具教様もすごいですね。籠城初日からみんなと同じゴハンを食べてたって……当主の鑑ですね」
「……そんなことより、さっさと食え」
「はーい」
まだ完食されていないロアの膳を一瞥し、左京亮は注意する。ロアは端末を床に置くと食事を再開した。
「……そう言えば、その戦って信雄様が北畠家に婿養子として入ったコトで終わったんですよね?」
「あぁ。最初は具教様の首が条件だったのだが……尊が信長様の元へ行き、説得して変えたそうだ」
左京亮の答えを聞くと、ロアは小さく笑う。
「何故笑う?」
「いや、尊先輩らしいなと思いまして」
漸く食べ終わったロアは箸を膳の上に置く。
「『誰も死なない方法を考える』って、尊先輩が口癖みたいに言ってましたから」
「懐かしいな。彼奴は戦がある度に言ってたな……」
左京亮は7年前の事を思い出して小さく笑う。




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