The brand in bloody

□01.千切れゆく鎖
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1

・・・・視界を染め上げるのは赤い色。
夥しく流れ出るそれは、急速に世界を侵蝕していく。
鉛のような咽返る強烈な鉄の臭いが充満する。

耳を劈く潰れた悲鳴。

思考が麻痺した脳が、ただ目前の光景を機械的に受動する。
自分の身体からも、目の前に転がる原型を留めていない“ソレ”からも、部屋の至る所からも流れ出る血、血、血・・・。

・・・・血の海に、誰かの冷笑が浮かぶ・・・。




2

小高い土地に建つ、九条学園。
此処は古くから在る名門校で、数多くの著名人を出している。
敷地内には幼稚部、小等部、中等部、高等部がそれぞれ棟を構えている。

高等部棟3階、2年A組。
正午を過ぎ、授業はすでに5時限目の終了間近。
0時限目から6時限目、45分単位の実質7時限制の一日のカリキュラムの9割の終了が近づいた時、教室の前方の扉がゆっくりと開けられた。

教師、生徒が一斉に作業を止めてそちらへ振り向く。
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