The brand in bloody

□02.異形の誘い
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翌日。九条学園2年A組。
朝からがやがやと賑やかな教室の一角で、晋浬達は机を囲んでいた。
「晋浬、昨日はちゃんと休んだか?」
那砂の問いに、晋浬ははっきりしない返事をする。
「ん・・・?あぁ・・・多分・・・」
「何だよそれ」
晋浬には昨日の記憶が曖昧なものしか無かった。
「家に帰ってから・・・何をしてたか覚えてないんだ。気付いたら朝になってた」
「そうか・・・。まぁ、気付かないうちに寝てたんだろ。マジで無理すんなよ?」
「分かってるって。とにかく今はノートの書写だ。今日が提出期限とか聞いてないぞ」
昨日はそのまま眠ってしまったらしいので、那砂に借りた現国のノートを書き取れなかった。
その上、朝来てから今日が提出期限だということを聞いて急いで書写している。
こういう時に限って、量が半端無く多い。
「ごめんね晋浬。メールすればよかった」
「何で汐伽が謝るんだよ。何もせずに寝た俺が悪いんだ。しょうがないよ」
このやり取りに、凪叉がにやりとする。
「晋浬ってさ、汐伽には優しいよねぇ?」
これに慌てたのは何故か汐伽だった。
「そ、そんな事無いよねぇ!?晋浬は皆に優しいよ!?」
この展開にさらににやりと笑う。
「でも式野君とか、すっごい可哀想な扱いされてるじゃん」
突然出された名前に、晋浬は眉を顰める。
「・・・何でアイツが出てくるんだよ」
「ほら、すっごい嫌そう」
「別に嫌って訳じゃ・・・」
「じゃあ何よ?」
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