The brand in bloody

□06.異界
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兄である扇浬をその身に宿してからの晋浬の生活は、今までとは変わった。
何より変わったのは、血を見ても発作を起こさなくなった事。
これはとても喜ぶべき事だが、今まで血に強烈な拒否感を抱いていた晋浬の内心は複雑だった。
その上、これは扇浬が晋浬の突発的な発作を代わりに押さえ込んでいるから発作が起こらないのであって、晋浬自身にはこれを抑える耐性はまだ無いと言える。
なので根本的な問題はまだ解決していないのだ。
由乃によれば、晋浬が発作の原因である過去の出来事を思い出した現在、それを克服する事は可能になったとの事。
ただ時間は掛かる…という事だ。


発作を起こさなくなった事で、体育の授業にも出られるようになった晋浬。
クラスの女子達は、今まで見ることの無かった晋浬のジャージ姿に歓声を上げていた。
男女別の授業にもかかわらず、女子達は授業そっちのけで晋浬と朱威を見に来ていた。

「おー、晋浬モテるんだな!」
朱威が晋浬の背中をバシバシ叩きながら話す。
「いてっ…、痛いって!やめろ!」
「うっ!」
脇腹に拳が入る。
「ちょ…そ、そんな本気になんなくても…」
「お前がいるからさらに女子達が騒ぐんだろうが。お前のせいだ」
「何で!?」
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