The brand in bloody

□07.暮垣社長
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晋浬が異界へ渡ってから数日後、体調が回復し退院した晋浬を交え、暮垣社長の事を由乃に報告した。
暮垣社長から異界の気配がする事、異界での“禁忌”の事、そして異界で社長の残滓を見つけたと言う事…。
この話を聞き、由乃はふとある事を思い立つ。
それは、前から少しずつ社長の様子がおかしくなってきていた事だった。
以前から社長は自分にも他人にも厳しかったが、その中にも人間味は見て取れた。
だが、最近はあまりにも言っていることが滅茶苦茶になってきている。
実現不可能なことを要求してきたり、支離滅裂な会話もよくするようになっていた。
これを由乃は、“社長が壊れてきている”ように感じていた。

「もしも社長が禁忌を犯して生き返ったのだとしたら…彼はかなり危険な存在と言う事になるわね…」
眉根を寄せて考え込む由乃。
「というか、それ以前に社長が死んだなんて話聞いた事ないですよ、俺」
頭を掻きながら脚を組みかえる朱威。
「…社長がいつ異界に居たのか分かったりしないのか?」
腕組みする晋浬は目の前に座る扇浬に訊ねる。
「うーん…。いつごろか…とかいう明確なものは分からないけど…」
「けど?」
「多分、7、8年前に初めて彼を見たかな」
「本当!?」
割と重要な情報が飛び出たので由乃は身を乗り出す。
「そこまで分かってたら調べられるかもしれないわ。調査部に依頼してみる」
「お願いします」
「とりあえず社長には要注意よ。滅多に会う事は無いでしょうけど、気を付けなさいね」
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