The brand in bloody

□02.異形の誘い
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詰め寄る彼女に晋浬も食いつく。
「何か知らないけど引っかかるんだよ」
「引っかかるって何よ?気に障るとか?だったらやっぱり嫌いなんじゃないの」
「だから違うって言ってる・・・」
何やらおかしい方向へと会話がずれてきているので那砂が止める。
「ストップ!お二人さん論点ズレてますけど。朱(しゅ)威(い)の事は良いだろう。つーか晋浬は早くノートを書け」
「・・・・・」
これ以上は何も言わず、晋浬はノートの書写に戻った。
凪叉もふー、と短い息を吐き、頬杖をついて窓の外に視線を外した。
場に流れる微妙な空気に、汐伽は戸惑う。
那砂も、やれやれといった表情を浮かべ、汐伽と視線を合わせる。
この二人は、何故かこのように少々喧嘩腰になってしまう事が多々ある。
仲が悪いという訳では無いのだが、最終的に気まずい空気になりがちなのだ。
恐らく、物事をストレートに言う凪叉に、晋浬も真っ向から向き合う為だと思われる。
冗談が本気になってしまうのだ。
「さーて、最初の授業は何だったか・・・?」
那砂が、空気を変えようと何気なく言った言葉だったが、すぐにしまったと後悔する。
クラスの女子が鞄を持って教室を出て行く。
着替えるために。
「・・・体育・・・か」
呟く那砂。
ちらっと晋浬を一瞥する。
彼は鞄にノートを詰め込み、席を立った。
「・・・ノート、もう暫く借りるからな」
少しだけ、不機嫌な声で那砂達に言い残して教室を出て行った。
そんな彼を見送り、凪叉がぼそりと言った。
「・・・はぁ・・・。何でこうなっちゃうかな・・・。悪い事したかなぁ」
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