The brand in bloody

□02.異形の誘い
3ページ/19ページ

後悔している様子の彼女に、汐伽が微笑みかける。
「大丈夫だよ。晋浬次に会うときはけろっとしてるじゃない。平気平気っ」
「うーん・・・。そうだね。ありがと、汐伽」
「うん。じゃあ那砂、私達も行くね」
「あぁ。二人とも、怪我すんなよ」
そう言って汐伽達も教室を後にした。
いつも言っている事なので、何気無い言葉だと思うが、この“怪我をするな”という警告は、彼等にとってはとても大切な事だった。
晋浬は、体育の授業には出ない。
もちろん、特別に許可を得ている。
身体が弱い訳ではない。
体育の授業は、怪我をする危険がある。怪我をすれば必ずと言っていいほど見る事になるものがある。
それは“血”だ。
晋浬に血を見せてはならない。
何故なら、彼は例え少量の血を見ただけでも激しい発作を起こしてしまうからだ。
場合によっては命に関わるほど重いもの。
そんな彼を、那砂達は守っているのだ。
彼に血を見せないよう、その危険性があるものから彼を遠ざけている。
したがって、彼等の間で怪我は厳禁なのだ。
晋浬の精神状態によっては、血を見ずとも、その臭いでも発作を起こすことがある。
我々には感じることが出来ないその微かな臭いにも敏感に反応するのだ。
彼を守る自分達が、彼に発作を起こさせては何の意味も無い。
血には細心の注意を払う必要があるのだ
晋浬を守るために・・・。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ