The brand in bloody

□02.異形の誘い
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皆が体育の授業に出ている間、晋浬は自習室で過ごしている。
誰も居ない自習室で、今日はひたすらノートを写している。
やたら量の多い文字数に少々イライラする。
そして、これを授業中に書いていた皆を、少し労う気持ちが湧いたりしていた。
暫し集中し、一気に書き上げる。
その中で、授業内容を頭に入れる。
晋浬は、とても頭の回転が良い。授業を受けていなかった時の内容も、こうしてノートを見たり、汐伽達から教えてもらったりするとすぐに頭に入る。
そのため、何かと授業を欠席しがちな彼にとっては助かっている。
「・・・ふー、終わった・・・」
思わず声に出してしまった。
普段独り言はあまりしない晋浬。そんな彼でも思わず口にしてしまったほどの量だったのだ。
ノートを閉じ、シャーペンを置く。
すると、シャーペンがころころと机を転がっていき、床に落ちてしまった。
その様子を、止める訳でもなくただ眺めていた。
カツン、と軽い音が響く。
それを拾おうと、床に視線を落とすが、無い。
「?」
確かに落ちたはずのシャーペンが何処にも無い。
しゃがみ込んで辺りを探す。
そこまで遠くに転がっていくはずはないのだが・・・。
ある程度探し回り、それでも見つからない為、諦めて席に戻ろうと振り向いたその時。

・・・ピチャ・・・
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